柏崎原発「再稼働」にお墨付き。それでも脱原発できない日本の憂い

 

しかし本当に、このようなエネルギー政策を続けてよいのだろうか。世界の趨勢から取り残されはしないだろうか。

先進国では原発の競争力が低下し太陽光発電が息を吹き返した。ガスと再生可能エネルギーの二強時代がやってきている。

「シェール革命」でガスの価格が下がり、発電用燃料としてのガスの競争力が高まった。一方、太陽光発電も業界の想定以上にパネルや建設価格が低下し、急速に拡大している。

2016年の世界の太陽光発電設備の新規導入量は7660万キロワットと、前年比50%も増えた。けん引役は中国と米国だ。

国際的な太陽光の発電コストは、2017年では1キロワット時あたり9セント弱まで下落しており、これが2020年には3セントまで下がると予測されている。

再生エネは発電量が変動しやすいため、安定性の確保上、運転の立ち上げが容易なガス火力と併存すれば、すこぶる相性がよい。しかも、いずれのコストも下がっている。

蓄電池の性能向上やITを活用した需給予測で再生エネの使い勝手は格段によくなってきた。ガスと再生可能エネルギーの二強時代が想定されるのはそのためである。

日本はまだメガソーラー開発の歴史が浅いこともあり、1キロワット時あたり17.2円(15.3セント)弱と、国際的にみて、まだ高コストではある。それでも近い将来、低コスト電源になっていくのは間違いない。

原発のコストが安いというのはウソで、むしろ高くつくことや、事故が起これば国が亡ぶかもしれない危険なシロモノであることが分かった今、一刻も早く脱原発に向かうべきである。

本当のところは、どんな金融機関も原発に投資したり融資したいと思わないだろう。いざとなったら国民の税金でなんとかするという国の姿勢が続いているから、成り立っているだけのことだ。

昨年11月末に、資源エネルギー庁が発表した「2030年エネルギーミックス必達のための対策」によると、わが国の電源構成は2016年度の場合、火力が83%で、再エネが7.8%、水力7.5%、原子力2%であった。

2030年度には火力を56%に減らし、その分、原子力を福島原発の事故以前の25%に迫る22~20%程度まで復活させるとしている。そして、肝心の再エネは22~24%である。

他の先進国の再エネ導入目標はドイツが2030年に50%以上、英国が2020年に31%、原子力依存度の高いフランスでも2030年に40%という数字を掲げている。

それから考えると、日本の再エネ目標はあまりに低すぎる。福島の事故後、原発が稼働しなくとも国民生活に影響がなかったことからみて、原発ゼロ、再エネ比率45~50%というあたりが、災害の多いこの国では妥当であり、「脱原発は非現実的」という指摘はあたらないのではないだろうか。

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