戦争は「準備」だけで十分儲かる。米国が北に仕掛けた戦争ビジネス

 

戦争準備、軍事関連研究には、膨大な時間が必要

国防省軍事施設の日常の中の動きは、有事でも無い限り、実は一般に思われている以上に一般企業よりもかなりゆったりしている。仕事を頻繁に変える米国の文化では、企業はいつも緊張感をもって人が仕事をしている印象があるが、軍事関連施設では意外にもそうした印象は薄い。一般兵士は、通常ある程度の年齢になると退役するが、それらを除く軍高官や軍関連研究施設の人間は安定して長く勤務できるため、こうした職は雇用が不安定な一般企業よりもはるかに安定した職業となっている。

とはいえ軍事関係のプロジェクトは、情報収集や戦争準備も含めて一般企業のプロジェクトや研究開発と比較しても比べ物にならないくらいに時間がかかる。

良い面は、雇用が安定しているため研究課題や発明等が成功の可能性が多少薄くても枠に囚われないような自由な発想の面白い研究を行えることである。

自身も軍の研究の内容等を見たり聞いたり、実際携わった経験からすると、国防省や米国軍内の研究やプロジェクトは非常に斬新なアイデアで、一見「本当に成功するのか」と思うこともあるのだが、かなり先の将来を見据えた自由なチャレンジが許されていると感じられる。そしてこれらの研究やプロジェクトは一旦承認されてしまえば予算が一般企業や大学よりもかなり潤沢にかつ長期間に渡って受け取れる印象がある。

一方、悪い面としては、プロジェクトまたは研究の承認までにとても複雑なプロセスが存在し、そこに非常に時間が取られるということである。何人もの上官が承認作業に入り、かなり詳細な部分までプロジェクトや研究に対して計画書にツッコミが入り、その回答・提出の繰り返しの作業が何度も行われる。実は米国の大学においても、プロジェクトや研究において大学を相手取った訴訟を避けるために、こうした作業は行われるのだが、一般的な大学とは比較にならないくらいの時間がかかるのである。あまりにも時間がかかり過ぎて、研究者はやってみたいことがすぐには実行できないため、元々軍事関係の施設で研究をしていた研究者が大学に移ってくるということが起こるくらいである。

つまり軍事関連施設では、研究・プロジェクトだけを取ってみても、周到に非常に時間をかけて準備が行われるので、一般人が戦争の気配を感じる頃には、既に国防省や軍内部ではそのかなり以前から様々な準備が行われているということである。

print
いま読まれてます

  • 戦争は「準備」だけで十分儲かる。米国が北に仕掛けた戦争ビジネス
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け