法案の骨格部分を削除
【東京】は1面トップのみ。他紙の取り上げ方に倣い、予算案の衆院通過も“関連”とみれば、2面に記事がある。見出しから。
1面
- 裁量制 今国会断念
- 働き方法案 首相、削除を指示
- データ不備で追い込まれ(解説)
uttiiの眼
《東京》は1面記事のリードで「看板政策に位置付ける法案の骨格部分削除は、政権にとって打撃になった」と書いている。「裁量労働制の対象拡大」が「働き方改革関連法案」の骨格部分であるという認識は、これまで必ずしも表明されてはこなかったと思われるので、若干の違和感がある。実際、法案のなかで規制緩和に類する部分としては「高度プロフェッショナル制度」の方が目立っていて、裁量労働制についての議論はほとんど見られなかったが、規制緩和を求める経済界が注目していたのは、むしろ「裁量労働」の方だったと考えられ、その意味では「骨格部分」という評価は当たっている。その「骨格部分」がなくなって“骨抜き”になったにもかかわらず、法案が成立しやすいものになったとは言えないという点が、今後を見るときに重要な視点になっていくだろう。
《東京》は記事の最後に、記者による「解説」を用意していて、首相が今国会での成立を断念するに至ったのは、不適切なデータ問題への批判で追い込まれた結果としつつ、「裁量労働制の方が労働時間が短くなると印象付けるために、データを改ざんしたとの批判を免れない」としている。また、「労働規制の強化に、経営者の視点に立った規制緩和を抱き合わせる手法」や、「多岐にわたる制度変更を盛った8本の法案を一本に束ねて提出しようとする手法」が批判されている。
image by: 首相官邸