深夜に急転。安倍総理の裁量労働「撤回」を新聞各紙はどう伝えたか

 

法案の骨格部分を削除

【東京】は1面トップのみ。他紙の取り上げ方に倣い、予算案の衆院通過も“関連”とみれば、2面に記事がある。見出しから。

1面

  • 裁量制 今国会断念
  • 働き方法案 首相、削除を指示
  • データ不備で追い込まれ(解説)

uttiiの眼

《東京》は1面記事のリードで「看板政策に位置付ける法案の骨格部分削除は政権にとって打撃になった」と書いている。「裁量労働制の対象拡大」が「働き方改革関連法案」の骨格部分であるという認識は、これまで必ずしも表明されてはこなかったと思われるので、若干の違和感がある。実際、法案のなかで規制緩和に類する部分としては「高度プロフェッショナル制度」の方が目立っていて、裁量労働制についての議論はほとんど見られなかったが、規制緩和を求める経済界が注目していたのは、むしろ「裁量労働」の方だったと考えられ、その意味では「骨格部分という評価は当たっている。その「骨格部分」がなくなって“骨抜きになったにもかかわらず、法案が成立しやすいものになったとは言えないという点が、今後を見るときに重要な視点になっていくだろう。

《東京》は記事の最後に、記者による「解説」を用意していて、首相が今国会での成立を断念するに至ったのは、不適切なデータ問題への批判で追い込まれた結果としつつ、「裁量労働制の方が労働時間が短くなると印象付けるために、データを改ざんしたとの批判を免れない」としている。また、「労働規制の強化に、経営者の視点に立った規制緩和を抱き合わせる手法」や、「多岐にわたる制度変更を盛った8本の法案を一本に束ねて提出しようとする手法」が批判されている。

image by: 首相官邸

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ニュースステーションを皮切りにテレビの世界に入って34年。サンデープロジェクト(テレビ朝日)で数々の取材とリポートに携わり、スーパーニュース・アンカー(関西テレビ)や吉田照美ソコダイジナトコ(文化放送)でコメンテーター、J-WAVEのジャム・ザ・ワールドではナビゲーターを務めた。ネット上のメディア、『デモクラTV』の創立メンバーで、自身が司会を務める「デモくらジオ」(金曜夜8時から10時。「ヴィンテージ・ジャズをアナログ・プレーヤーで聴きながら、リラックスして一週間を振り返る名物プログラム」)は番組開始以来、放送300回を超えた。

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【著者】 内田誠 【月額】 月額330円(税込) 【発行周期】 週1回程度

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