なぜ、日本の保守派は未成年への「性教育」を妨害し続けるのか?

 

男尊女卑ヒエラルキーが崩壊すると、自分の信じている世界が否定されるように思うということもあるのでしょう。

この問題ですが、いわゆる左派の立場の人たちは「鬼の首を取ったように」自分たちの「正義」を振りかざして、この種の「反性教育の立場を罵倒するだけ」で終わることが多いようです。

ですが、その種の「議論」や「闘争」が空回りしているのも事実です。左右対立に収斂させて力比べで圧倒するのではなく、その病理自身にメスを入れる、つまり性教育を妨害している層の持つを解き明かすことが必要ではないかと思うのです。

現在の日本における「保守」イデオロギーが、どうして「性教育を否定」したがるのか、そこにはアメリカの福音派における純潔主義、イスラム教の教理などとは違う「何か」があるように思います。日本の神道や農村文化などにはない「禁欲性」がどこからきているのか、実はよく分かっていないというのが現状ではないでしょうか。

少し大きくに構えてみると、明治以降における「秩序」とか「公共」という概念、更には社会の単位としての大家族主義といった「前近代」でもなければ「近代」でもない何か、いわば「半近代」という状態があって、それが全員を不幸にしている、その一つの現れなのかもしれません。

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東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

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