「大手メーカーだからオールマイティー」という訳ではないことは言わずもがなで、むしろ小回りが利く中小企業だからこそ、強みを発揮できる領域があります。今回の無料メルマガ『がんばれ建設~建設業専門の業績アップの秘策』では著者・降籏達生さんが、まさにそんな中小企業の利点を活かし大人気となっている、鳥取の万年筆メーカーを紹介しています。
万年筆博士に学ぶ口コミ力
本日は建設業の話題ではありませんが興味深い企業を見つけましたので紹介します。鳥取県にある「万年筆博士」という会社です。1本10~20万円の高級万年筆を販売している会社ですが売上げの50%が海外でしかも現在、購入から完成まで15ヶ月待ちです。それでも発注が増え続けているのです。
製造プロセスは以下のようです。一本につき300から500工程、時間にして10から50時間、漆塗りについてはさらに2ヶ月の塗り研ぎ、じっくり手間をかけ出来上がります。ペン先はまるで何年も人生をともにしてきた相棒のようになじませ、表現力高く研ぎあげるのです。
作り手と使い手が直接コミュニケーションし同化するための独自の診断カルテがよりよいものづくりを可能としています。前代未聞の手しごとかつカスタムメイドのシステムを1982年からはじめ、ひとりの職人が、軸からペン先まで一貫して製作する究極の道具を求めるファンは、世界中へと口コミで広がっています。
3代目社長である山本竜さんは以下のように言われています。
「大手メーカーには不向きで、小さいからこそできる仕事がある。それに気が付いた私は御用聞き用の診断カルテを開発。ここからカスタムメイド万年筆の道をあゆみはじめました。
1日に14時間以上ろくろを回す。集中力を高めるために食事は抜く。元日以外は休みません。目でみて、匂って、指先で感じ、音を思い出す。『言葉で言い表わせられない何か』をいかに感じ取るかということが修行です。
『言葉で言い表わせられない何か』といえば万年筆で書くおたよりもそうです。上手な文字でなくとも、上手な文章でなくとも気持ちが伝わるのは、それ以上に感じさせる何かが宿るためだと考えています」
建設物もこの万年筆同様に手作りの一品生産。一つひとつの作品を、心を込めて作ることでファンができ、結果としてお客様に15ヶ月待ってでも買いたいと言わせることができるのでしょう。
image by: 万年筆博士