H.I.S.や星野リゾート、ニトリが安売り合戦に乗らず勝てる理由

 

ニトリのコーディネート戦略

ニトリ、といえば思い出すのが、「お、値段以上 ニトリ」のキャッチフレーズだ。読んで字のごとく、品質の良い品物を低価格で提供する、コストリーダーシップの戦略をとることで、成長をしてきた企業だ。

しかしここのところ、TVCMでもやっているように、複数の商品の色や形状を統一させることで、部屋のインテリアをコーディネートできる、「アンドスタイル」というラインアップに力を入れている。日本経済新聞の記事によれば、全体の2割だったコーディネート商品の構成比を、2019年までに4割にするということだ。各商品ラインは、素材感やデザイン性を重視。これからも和モダンやフェミニン、ナチュラルモダンなど、展開を増やしていくということになるそうだ。

ホテル業界同様、家具の販売においても、IKEAの登場進出以来地殻変動が起きていると言える。郊外型の大規模店舗は、さながらエンタテイメントパークのように、1日いても楽しむことができるし、商品数も膨大。さらに、品質もそこそこで、買いやすい価格で提供されている。商品の機能的な価値だけで勝負していると、価格の安さに行き着き、利益率の低下を招く悪循環になりがちな業界と言える。

今回のこのニトリのコーディネート商品ラインアップの充実は、これまでのコストリーダーシップの戦略を保ちながら、想定顧客層の情緒的な価値に訴え、「気持ちいい商品を集めたから、小物から全て、ニトリで揃えてはどうでしょうか」と、顧客囲い込みにつながる戦略をとったと言える。

イオンモールなどに展開する、大型家具ではない、雑貨中心に販売をする業態の、ニトリデコモールなどを合わせて、買いやすい商品を入り口にし、ニトリファンになってもらう、という戦略をとるということになるのだろう。

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