H.I.S.や星野リゾート、ニトリが安売り合戦に乗らず勝てる理由

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それぞれ特色あるサービスや商品展開で各業界をリードしてきた、HIS、星野リゾート、そしてニトリですが、ここに来てさらなる進化を遂げるべく、新たな展開に打って出ています。メルマガ『理央 周の売れる仕組み創造ラボ【Marketing Report】』では著者でMBAホルダーの理央さんが、3社の「価格競争に乗らない戦略」を紹介するとともに、そこから学べる「競争における戦い方」を考察しています。

HIS、星野リゾート、ニトリに学ぶ「競争における戦い方」

日本経済新聞4月12日の記事、「個性競うホテル ロボvs人間」というのがあった。様々なメディアでも取り上げられている、HISの変なホテル従業員のサービスの質で特化する星野リゾートの対比だ。

変なホテルの方は、ロボットに接客などを対応させることで省人化、効率化を目指している。この頃は、チェックアウト時に、部屋のカードをキーボックスに入れるだけで、全ての手続き完了ができるホテルも多いが、変なホテルでは、チェックインからアンドロイド的な「ロボット」が対応する。

記事によると、掃除や窓拭きなど、多くの「手作業」を自動化している極端さが目新しい。同程度の規模のホテルの4分の1の人員で6割の利益率と高い効率化を目指す。

一般的に、ホテルや飲食店など、ユーザーと近い距離でサービスを提供する場合、省人化することによって、サービスの質が落ちる、という認識がありがちだが、変なホテルにおいては、その点を、エンタテイメントの要素を入れ込むことによって逆張りで楽しんでもらう工夫が各所にある。

ビジネスモデルの一種に、現状のサービスを分解し、不要な部分をそぎ落として、相対的な価格を下げる、「アンバンドリング」という考え方がある。例えば、焼肉定食1,500円とした場合、ばら売りをして、焼肉1,000円、ライス200円、味噌汁200円、漬物200円で売り、好きなものだけ頼んでもらう、という具合だ。大企業の事例で考えれば、理髪店の水回りを省いたQBハウスは、低価格と時間短縮を価値として提供し、機内サービスを省いたLCC各社は、低価格を提供している。

一方の星野リゾートは、これまでの規定戦略どおり、手厚いサービスを付加価値として提供する、「OMO(オモ)」というブランドを展開するとのこと。記事には、地方の高級ホテル・旅館が得意な星野リゾートが、都心に新しく展開していく上で、「ビジネス客は捨て、観光客に特化したサービスを展開する」という思い切った戦略のホテルだ。都内大塚に出すホテルでは、価格は1人7,000円から。125室を50人で運営と、HISとは対照的な人数。

秘密基地的なインテリアになっていたり、宿泊客同士が交流できるラウンジを設けたりと、こちらも、エンタテーメント的な要素が盛りだくさんだ。中でも「Go-KINJOゴーキンジョ)」というサービスが、かなりのインパクトでオリジナルだ。正社員が近所のスナックや、そのあたりにしかない、名物飲食店や催し物を案内。一流ホテルのコンシェルジュのB級バージョンといった具合だ。

このように、HIS、星野リゾート、どちらの業態にしても、単純に、価格や部屋のサイズの調整、サービスの付加や削除ではなく、宿泊客のステイの先にあるエンタメ要素を追加するという、情緒的な価値に訴える戦略をとっている点が目新しい。

こういった施策の背景には、東京、関西圏で宿泊客が増える中、同時に供給室数も増える。中でも、民泊をはじめとする安価な部屋の提供で、値崩れすることなども考えられる。価格競争に持っていかない工夫という点で、参考になる事例だと言える。

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