トランプ批判、北朝鮮完全勝利の文脈で、今回の共同宣言には「具体的な約束がない」とあげる人が工作員界隈に少なくありませんが、彼らがそもそも繰り返していたのはこんな主張。
「非核化の約束を北朝鮮がしても、それを守るとは限らない」
つねに約束を破り続けた北朝鮮への批判ではなく、「非核化は無理」と印象づけるための発言です。
ならば、つまりはこうなります。
「そもそも約束しても意味がない」
だから、具体的な合意内容がなかったと見ることもできます。
はい、ここからが「トランプ完全勝利説」です。あらかじめ断っておきますが、ひとつの可能性にすぎません。これまでトランプ流の外交、政治、これらを総合した上で、ビジネス視点でみた仮説です。
米朝合意に具体的な約束はない。それは「白紙の小切手」と見ることもできる。
ということ。白紙の小切手とは、受け取った側が好きな金額を書き込めるという意味で、何も具体策が盛り込まれなかったということは、米国側の「言い値」で交渉ができるということ。
工作員達は北朝鮮が、具体的に何も制約を受けず、約束しなかったことをもって「勝利宣言」していますが、ビジネスシーンにおいて、立場が強い取引先から我が身を守ってくれるのが、詳細な取引条件が記された覚え書きや契約書です。
反対にもっとも怖いのが「口約束」です。
「よろしくやっておいてよ」
との「よろしく」に込められた意味を「忖度」しなければならず、例えば引き渡し後の瑕疵(かし=ミス)についての約束がなければ、
「完成品を納品するものだ。完成品とは不完成品ではない。こちらが納得する完成品になるまでやり直すものだ」
と押し切られることなどよくあること。だからこそ、子細を詰めて契約を交わすのであって、約束事とは弱者が強者から身を守る術でもあるのです。
米韓軍事演習をやめるとの発言を問題視する人もいますが、「交渉が順調に進んでいるあいだ」と注釈をつけています。
そしてこの「順調」の定義はなく、「北朝鮮は意図的に交渉を遅らせている! 不誠実な態度だ!」とトランプ大統領がツイートすれば、そこでおしまいとなる可能性があるということです。
非核化の費用について、日本と韓国が支払うという記者会見での話しにしても、その前段に「私は取引がしたい」とトランプ大統領は繰り返しているので、「条件次第」と解釈すべきですが、工作員達は「日本が無条件に金を支払う」かのように繰り返します。
ビジネスシーンに生きるもの、ましてや会社員時代は中小企業で、独立後は個人商店という弱者の立場で生きてきた私の経験からすれば、米朝会談における、白紙の小切手状態の合意書など、よくサインしたものだと、むしろそこまで北朝鮮は追い詰められているのだと見ることもできるということです。
繰り返しになりますが「トランプ完全勝利説」とは、北朝鮮の工作員と思えて仕方がない、左派メディアとテレビ報道の正反対の視点からの観察で、この見立がすべてではありません。
しかし、ドナルド・トランプ米国大統領を「ビジネスマン」としてみれば、「歴史的米朝会談」の勝者を、北朝鮮とすることはできないという話しです。