のぞみ「接触事故」で新幹線の危険性を煽るマスコミ報道の違和感

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6月9日の東海道新幹線で発生した痛ましい殺傷事件から5日後の14日、今度は山陽新幹線「のぞみ176号」の先頭部分が大きく破損した上、人と接触した痕跡があると別の新幹線の運転手に指摘されて緊急停車するという事故が発生しました。先頭に人が接触した時点で、なぜ運転士は異変に気づかなかったのでしょうか? 新幹線の安全性が揺らいだかのような報道が目立つ中、メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』の著者で鉄道に造詣の深い米在住のジャーナリスト・冷泉彰彦さんは、今回のJR叩き一辺倒の報道に対する「違和感」の理由について詳述しています。

山陽新幹線の線路立ち入り事故「報道への疑問」

6月14日(木)14時前後に、始発駅の博多を出発して直後に山陽新幹線の「のぞみ176号」が小倉駅に停車後、そのまま発車したところ、すれ違った「みずほ」の運転士に異常を指摘され、新下関に緊急停車して運転を打ち切りました。

車両の最先端部が破損しており、また先頭部分には血痕があり、更に人間の身体と接触した痕跡も残っていたわけで、運転打ち切りになったのは仕方ないと思います。また、小倉駅で車両先頭部分の異常が発見できなかった問題は、反省と改善が必要であるのも、その通りだと思います。

ですが、この問題ですが、まるで新幹線の安全性が揺らいだかのような表現で、しかも大量の報道がされたというのには違和感を禁じえません。

まず、ドンという異音がしたにもかかわらず、運転士が小動物との接触」だと判断したことが批判されています。ですが、接触が発生した箇所、つまり高架橋からトンネルという区間で、駅からの距離も遠い箇所で人間が線路内に立ち入っているということは想定されていません

人間の立ち入りに関しては、まず法律で厳しく禁止されています。東海道新幹線が1964年に開通する前に制定された「新幹線鉄道における列車運行の安全を妨げる行為の処罰に関する特例法(略称は新幹線特例法)」という法律があり、新幹線線路内への立ち入りは厳格に禁止されており、違反した場合は5年以下の懲役または5万円以下の罰金という量刑も定められています。

それだけではなく、こうした高架橋の場合は非常点検用のハシゴなども、厳重に施錠してありますし、地上区間の場合は鉄条網等で防護されています。新幹線の線路をまたぐ跨線橋の場合も、飛び降り等を防止するために高い防護柵や鉄条網が設置されています。ですから、大型の脚立を持ち込む等の悪質な行為を行わなくては、立ち入りは不可能であり、そうした事態は鉄道事業者として想定していません。

ですから、運転士が異音を感じた場合に小動物等との接触という判断をしたのは間違いではありません。また、今回の事件を契機としてその判断基準を変更する必要もないと思います。

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