のぞみ「接触事故」で新幹線の危険性を煽るマスコミ報道の違和感

 

ということで、今回は旧型の700系であるために、破損してしまったと見られるわけですが、そうであるにしても、今回破損した部分は、

  1. 新幹線のボディ本体ではなく、連結器カバー
  2. 強化プラスチック製のため、仮に壊れても金属片が飛散することはなし

ということは確認しておいても良いと思います。

問題はむしろメディアの姿勢にあると思います。今回の事件を、他の事件と重ねることで、新幹線の安全神話が揺らいだとする、そこまでは間違ってはいますが、まだ仕方がないとは言えます。ですが、問題は、その報道が余りにも露骨で大量だったことです。

いちいち血痕がどうとか、「人体の一部が発見されたとか、「衣服が見つかったなどと「おどろおどろしい報道が繰り返されたのです。その結果として、交通システムへの信頼は必要以上に揺らいだし、同時に、これだけ報道されてしまうと、模倣する人が出てくるのが怖いです。

新幹線を使った自殺というのは、経済的・社会的なダメージが巨大になるだけでなく、身元確認(今回は指紋で確認できたようですが)が難航したり、遺体の捜索活動も凄惨を極めるなど、絶対にあってはならないことです。模倣犯を防止するという観点からも、今回の報道の総量は、問題の深刻さに比べて多すぎたと言わざるを得ません。

 

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東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

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