脱・量販店。なぜビックカメラは1Fから携帯コーナーを撤去したか

 

家電量販店各社は、どう動いているのか?

この低成長時代に、大手家電量販店各社も趣向を凝らして、様々な手を打っている。

先述の通り、ヤマダ電機は注文住宅のエス・バイ・エルを買収し、子会社化しているし、エディオンもリフォーム部門に力を入れているノジマは携帯に逆に特化しているし、ケーズホールディングスは家電中心での販売に特化。

ネット販売で各社を先行しているのはヨドバシカメラで業界ナンバーワンの1,000億円をネットで売るとのこと。

各社、百花繚乱なんでもありの家電量販店、という業態からの工夫をしているのが見て取れる。

目立つビックカメラの動き

日経MJによると、中でも、ビックカメラの動きが顕著とのこと。業界2位、創業40年のビックカメラは、「脱・量販店を掲げている

秋葉原では、最も売上が見込める1階に、売れ筋だった携帯電話のコーナーを撤去、化粧品に食品日本土産を並べる。また、京王調布店ではやはり1階に、自転車をずらりと並べているとのこと。

こういった展開には、これまでの家電量販店の常識であるところの、1階は携帯売り場、という固定観念を外し、顧客購買行動の変化を捉えた上での、インバウンド旅行者の多い秋葉原での土産や、住宅地も近い調布での自転車などを陳列している点が新しい。

伴って、店舗のスペースも広くなくても良い、という考え方で出店を進めている。もともと家電そのものが大きいので、陳列のスペースが必要だが、このような品揃えであれば、広大な敷地は必要ないとのこと。

私の地元名古屋の近くにあるセブン&アイホールディングスの、GMSの中には「ビックトイズ」という玩具中心の業態があり、竹下通りには、化粧品や食品を揃える小型店舗の、「ビックカメラセレクト」という店舗があるとのことだ。

日経MJではビックカメラ宮嶋社長にインタビューしている。その中には、「新規事業にチャレンジしていくのは、オムニチャネルコマース最先端企業を目指すから」とのことを言っている。これこそが、消費者の購買行動の多様化に対応する姿勢の表れだ。

さらに、「社内では家電量販店という言葉は使わない。進化し続ける専門店の集合体だ」とも述べている。競争が激しく、低成長の業界の中で、何をすべきか、という取り組みの方針が明確なのだ。

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