脱・量販店。なぜビックカメラは1Fから携帯コーナーを撤去したか

 

ビックカメラに何を学ぶべきか?

我々は、このビックカメラの動きに、以下を学ぶべきだろう。

  • 自社が置かれている状況を正しく把握すること
  • 自社独自の強みを活用すること
  • 方針を正しく打ち出すこと

まずは、自社を取り巻く環境を正しく把握する姿勢を持つことだ。どんな業界も激しく変化している。特に2007年以降はそれが顕著だ。

ビックカメラが、インターネット通販の対応に素早く反応し、さらに競合とは異なるポジションを発見し、スピード持ってその位置に動こうとしている。大企業では珍しいスピード感だと言える。

うちの会社は大丈夫、という過信や固定観念を持っていないか、を、常に振り返ることが重要だ。そのために、チェックし社内に浸透させる仕組みが必要になる。

その環境変化に正しく対応することが次のステップだ。まずは、自社の独自価値を明確にすること。ビックカメラは、これまでの知名度と歴史、さらにカメラから始まった専門性をいかし、小回りのきく業態を確立させつつビックカメラという親ブランドを利用している。

さらに、ビックカメラは業界最大と言われる顧客データベースを有する。日経MJによるとポイントカードの登録者数は、数千万人とのこと。私の誕生日にもバースデークーポンが送られてきたが、これがなかなかの優れもので、オンラインショップで使えるのはもちろん、リアルショップでは期間中何度でも使える10%オフのクーポンがついている。

オフラインとオンラインを相互活用する考え方を、O2Oと呼ぶ(詳しくは今号の書評を参照ください)。これらの基本になるのが、顧客データベースだ。このデータベースの、実際の稼動率も高いらしい。やはり大福帳は重要だということも、ビッグカメラの事例は教えてくれる。

社長インタビューにあった「オムニチャネルコマース」とは、実はどこででも売る、という考え方というよりは、顧客にどこででも買えるという利便性を提供する、と捉えるべきだ。そう考えるときに、社長が掲げる戦略が、このDMを見る限りで、戦術レベルでも実施されている点が素晴らしい。

3点目に学ぶことは、この点で、自社のビジネスの方針を明解にし社員に伝えることで実施される。また、方針を明解にしない限り、顧客にも伝わらない。その意味でも、顧客視点の方針が素晴らしいことがあり、社内浸透させた上で、実施している。

状況を正しく把握し独自価値を明確にする、そして方針を打ち出し素早く実施する。当たり前のことだけれど、なかなかできない。ということを実践しているビックカメラの事例には、学ぶところが多い。

image by:  shutterstock

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