身体中に内出血も「いじめ」を認めぬ校長と探偵の壮絶バトル

 

ちなみに、A君本人は、およそ20日間ほど休み、学習を再開し始めていた。それは、A君本人に色々なフリースクールに顔を出してもらい、そこで、色々な同年代の子たちと話をしたり、交流をする事で、徐々に回復し、「くだらない奴らに人生までも壊されてたまるか!」と勉強を始めたのだ。

そこで、私からは、最近成立した「教育機会確保法」に基づく、フリースクールでの学習を出席扱いにしてもらえないかの打診をした。

ところが、学校長によれば、それは教育センターなど区などが設けている施設への登校についてであり、民間のフリースクールについては、校長が認めなければそれはできないという事で、校長としては、この程度のいじめにおいては認められない、という事であった。

もしも、学校に来ないのであれば、A君を「出席停止処分」にして、出席しなくて良いことにすると言い始めた。

この学校長は元教育委員会の職員であり、談話では成績のことしか言わない人物であり、成績優秀者やスポーツや合唱などでコンクールなどに出場することしか話さない人物である。

一人のいじめの被害者、その保護者、巷のNPOなど、アリンコ程度にか見えないかもしれない。保護者は席を立ってしまったが、私は5分くれと願い出て、1つの条件を提案した。

学校には、生徒らが登校し終わる9時台に保健室にのみ一度顔を出す。だが、学校には滞在せず、彼(A君)は、民間のフリースクールに行く。という流れで、保健室にタッチしたということを評価して、出席扱いにしてほしい。2年生になるときには、必ずクラス替えをしてもらって、Bを含めて、特に加害行為に加担した生徒らとはクラスを分けてもらう約束をしてほしい。

これについては、指導主事が、何かを言おうとした校長を遮って、「検討します」と答えた。

その日の夜、学校から保護者のところに電話があり、保健室タッチで登校を認めるので、それをすることから始めましょうと、提案を呑んだという知らせが来たということであった。

何としてもスッキリとしない結果であったが、教育機会確保法などを出しても、それを許可するのが校長だとこられてしまえば、この法律はもはや使い物にならない。仮に、学校長の判断に誤りがあったりしても、学校としては相当な抵抗ができるのだろう。

確かに法令には、フリースクールなど民間との連携を図るようにとはあるが、民間の施設へ行くことで単位を認めるとか出席扱いにするなどは、読み取れない。とりあえずできた、足がかりになる法なのだろう。それが、穴だらけのザル法であれば、結果、都合の良いように使われるだけだ。

校長の意識も低ければ、教員の意識も低くなりやすい。なぜなら、上司に逆らって正しいことをしようとしても、上司が否定してしまえば、一般の教員はそれ以上のことをする事は許されないのだ。

出席停止の発動も加害者ではなく被害者に使われるケースの方が多いのではないかと聞くことがある。それは違和感しかないだろう。

A君は今回の結果を「仕方ないよ」と受け入れて、校門前で待っている嘱託の先生と一緒に保健室に行き、判子を押してもらって、その足でフリースクールか自宅に戻るという生活をしている。

夕方過ぎになると、母親が運転する車で、県境をわざわざ超えて、予備校(大手の塾)で勉強をしている。

その原動力は、「負けてたまるかっ!」「今に見てろよお前(B君よりいい高校に行って良い大学に行ってやる!」という気持ちである。

彼のガッツをサポートしたいと思う。

image by: shutterstock

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社会問題を探偵調査を活用して実態解明し、解決する活動を毎月報告。社会問題についての基本的知識やあまり公開されていないデータも公開する。2015まぐまぐ大賞受賞「ギリギリ探偵白書」を発行するT.I.U.総合探偵社代表の阿部泰尚が、いじめ、虐待、非行、違法ビジネス、詐欺、パワハラなどの隠蔽を暴き、実態をレポートする。また、実際に行った解決法やここだけの話をコッソリ公開。
まぐまぐよりメルマガ(有料)を発行するにあたり、その1部を本誌でレポートする社会貢献活動に利用する社会貢献型メルマガ。

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