2020年、なぜ中国の習近平は「神」になったことを後悔するのか?

 

2020年、中国経済の崩壊が始まる…

私が習近平のアドバイザーであれば、「神になりましょう」とはいわないでしょう。そうではなく、「習主席、中国は今成長期後期の最末期。これから、成長期から成熟期への移行にともなう混乱が予想されます。神にはならないほうがよいでしょう」というでしょう。これは、なんでしょうか?

中国は1949年の建国から1978年末まで「移行期」「混乱期」でした。賢いトウ小平が改革を宣言したのは、78年末。だいたい1980年から成長期に突入した。日本は朝鮮戦争のおかげで1950年から成長期に入った。つまり、中国は日本から30年遅れているのです。

1960年代、日本は「安かろう悪かろう」で急成長。1990年代、中国は「安かろう悪かろう」で急成長。1970年代、日本は「世界の工場」になった。2000年代、中国は「世界の工場」になった。1980年代、「ジャパンアズナンバーワン」。日本は、世界一の経済大国になると、誰もが確信した。2010年代、「チャイナアズナンバーワン」。リーマン・ショックでアメリカが沈み、「中国が覇権国家になる!」と主張する人たちがたくさんいる。

どうですか? ピッタリ30年遅れでしょう。もしそうであるのなら、

1990年日本でバブル崩壊、暗黒の20年スタート。

2020年中国でバブル崩壊、暗黒の20年スタート。

となるはずです。まあ、習近平は、「日本のバブル崩壊」と「ソ連崩壊」を詳しく研究させているそうなので、多少時期はずれるかもしれません。しかし、「国家のライフサイクル」は、人間の生老病死同様、「不可避なプロセス」なのです。中国がこれから「また二けた成長を始めました」とかありえません。

ちなみにこの話、「中国の成長が鈍化しているのは、誰でも知っている。後づけ、後づけ!!!」と思う人もいるでしょう。では、05年出版『ボロボロになった覇権国家』27pを見てみましょう。

中国は、2008年・2010年の危機を乗り越え初めは安くてよい製品を供給する「世界の工場」として、その後は1億3000万人の富裕層を抱える巨大市場として、2020年ぐらいまで成長を続けるでしょう。

05年の出版時点で、

  • 08~10年に危機が訪れる
  • しかし中国はそれを乗り越える
  • 成長は2020年まで

と書いてあります。中国は既定の暗黒にむかって進んでいる。民は、40年間世界一の成長を誇ってきた中国経済がまったく成長しなくなったのを見て、「習だけが悪い!」と思うでしょう。なんといっても彼は、「終身国家主席」「」なのですから。それで、習さんが神になったことを後悔する日が、迫っています。

image by: shutterstock

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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