福祉避難所が機能せぬ日本に「超高齢化社会対策」など出来るのか

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阪神淡路大震災がきっかけとなり設置された「福祉避難所」をご存知でしょうか。被災した高齢者や障害者を受け入れることができる避難所ですが、様々な問題のため、その運用は当初想定していたものとは大きくかけ離れたものとなってしまっています。健康社会学者の河合薫さんは、自身のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』の中で今回、この「福祉避難所」の実態を紹介するとともに、日本が「超高齢化社会対策ができている国」となるために国民一人ひとりが意識すべきこと、実践すべきことについて話し合わなければならない時に来ていると記しています。

※本記事は有料メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』2018年8月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:河合薫(かわい・かおる)
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

介護は介護の問題にあらず。「福祉避難所」とは何か?

みなさん、福祉避難所って知ってますか?

これは災害などで避難する際に、高齢者や障害者を受け入れることができる避難所で、一般避難所に避難したのち、必要に応じて移る二次的な避難所です。

福祉避難所設置のきっかけは、1995年1月の阪神淡路大震災でした。

当時、体調の悪化や周囲となじめないなどの理由で避難所から出て行ってしまう高齢者や障害者が相次ぎ、「災害弱者を守る避難所を作ろう!」と気運が広がりました。

しかし、「うまく機能させる」難しさは、実際に災害にあわないとわかりません

例えば、東日本大震災で被災した高齢者や障害者は、施設から施設へ、地域から施設へと移送され、たらい回しにあいました。環境の変化は被災した人たちにとって最大のストレスです。

そのストレスが引き金となり、せっかく災害で守られた命が奪われる。いわゆる「震災関連死」が後を立たず大きな問題となってしまったのです。

そこで東北の教訓を生かそうと、全国の地方自治体が福祉避難所設置を積極的に進め、2014年10月時点で全国の7,647施設まで増加しました。

「福祉避難所が近くにあれば震災関連死を減らすことができる」

そう多くの自治体は考えていたのです。

しかしながら、2016年に起きた熊本地震では、地震発生から1週間後、福祉避難所に避難できた高齢者はわずか70人要支援者は1,700人と予想されていた)。

理由は施設も施設で働く人たちも被災し、「受け入れたくても受け入れられない」という厳しい現実でした。

福祉避難所に入れない人たちは一般の避難所での生活を余儀なくされ、学校の先生たちがケア。その負担は大きく、介護経験のない先生たちにとっても、また介護を受ける高齢者たちにとってもストレスになってしまったのです。

当時は「1週間後にわずか70人」という衝撃的な数字であったため、新聞やテレビも報道。話題となりました。

私自身、出演していた番組で「福祉避難所の実態」を取り上げ、問題提起。反響も大きかった。誰もが「そうだよね。どうにかしなきゃ」と“その時は共感したのです。

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