ポンペオ国務長官の要求は、なんと12もあります。
- イランは過去の核開発の軍事的な側面についての内容をIAEAに全て申請し、恒久的にこのような活動を破棄することを宣言すべし
- イランはウラン濃縮を停止し、プルトニウムを抽出する再処理を求めてはならない。ここには重水炉の閉鎖も含まれる
- イランは国内全ての施設におけるIAEAの査察に無条件でアクセスを提供すべし
- イランは弾道ミサイルの拡散を止め、核兵器搭載可能なミサイルシステムの開発や打ち上げを停止すべし
- イランはいい加減な名目で拘束している全ての米国と同盟国の市民を解放すべし
- イランはヒズボラ、ハマス、パレスチナ・イスラーム聖戦を含む、中東のテロ集団への支援を停止すべし
- イランはイラク政府の主権を尊重し、シーア派民兵の武装解除、動員解除、再統合を認めるべし
- イランはフーシ派民兵への軍事支援を止め、イエメンの平和的政治解決に努力すべし
- イランはシリア全域からのイランが指揮する全ての部隊を撤退させるべし
- イランはアフガニスタンと中東地域におけるタリバンやその他のテロリストへの支援を停止し、アルカイダ指導部を匿うことを止めるべし
- イランは革命防衛隊の世界中におけるクッズ部隊(対外遠征部隊)によるテロリストや軍事パートナーへの支援を止めるべし
- イランは、多くがアメリカの同盟国である、その近隣諸国——–に脅威を与える行為を停止すべし。
ここにはイスラエルを破滅させると脅すこと、サウジアラビアやUAEにミサイルを撃ち込むことも含まれる。また、国際的な航路への脅威や破壊的なサイバー攻撃も含まれる。
● ニュースウィーク日本版5月28日 「グローバル化と安全保障 トランプの世界観:イラン制裁再開で何を目指すのか」鈴木一人
これを見ると、「核開発問題」だけではないのですね。他の要求もたくさんあります。アメリカが、イランに「この要求をのめ!」と脅しても、「はい、わかりました!」とはならないでしょう。トランプさんでも、そのくらいのことはわかっているはず。では、なぜ、無茶な要求をするのでしょうか?
オバマ前大統領の政治遺産である核合意を覆し、イランと敵対するイスラエルや国内キリスト教福音派の歓心を買う対イラン強硬姿勢は11月の米中間選挙を見据えた、国内対策の側面も持つ。
(毎日新聞 8月7日)
「11月の米中間選挙を見据えた、国内対策の側面を持つ」そうです。これは大きいでしょう。そして、イラン制裁は、今回が最後ではありません。
中間選挙のタイミングの11月には、イラン産原油の禁輸やイラン中央銀行や民間銀行との取引を禁止する第2弾の制裁を予定しており、イランから原油を輸入している日本も影響は避けられないとみられる。
(同上)
「イラン産原油の禁輸」
「イラン中央銀行や民間銀行との取引を禁止する」
これは、大きいですね。日本企業も、イラン産原油を輸入すれば、制裁対象になります。