● 負け組1 = イラン
2016年、せっかく制裁を解除されたイラン。またもや制裁時代に逆戻りです。深刻な経済危機に見舞われ、国内政治が不安定化する可能性が高い。アメリカの挑発に乗って戦争になれば、体制崩壊はまぬがれないでしょう。
● 負け組2 = アメリカ
トランプは勝ち組なのに、アメリカは負け組? どういうことでしょうか? まず、北朝鮮核問題とイラン核問題は、根本的に違います。北朝鮮は、すでに核兵器を持っている。イランは、核兵器をもっていない。そして、何よりも国際原子力機関(IAEA)が「イランは核合意をきっちり履行している!」と宣言し、アメリカの決定に反対している。
今のアメリカは、「イラク戦争直前」の状態に似ています。02年、フランス、ドイツ、ロシア、中国は、「イラクを守ること」で心を一つにしていました。そして、国連安保理で拒否権を持つフランス、ロシア、中国は、はっきりとイラク戦争に反対。結果、アメリカは、安保理を無視して、開戦に踏み切った。しかも、その理由、「イラクには大量破壊兵器がある」「イラクはアルカイダを支援している」は、両方とも「大嘘」だった。それで、「正義の味方」アメリカの権威は、大いに失墜しました。
ソロスは04年、「イラク戦争で、アメリカは没落する」と予言した。リアリスト神ミアシャイマーは、イラク戦争に反対だった。世界一の戦略家ルトワックは、「イラク戦争は、真珠湾攻撃に匹敵する戦略的過ち」と語っている。
これから、アメリカは、イランと戦争をするのでしょうか? その時、アメリカの「イラン核合意離脱」に反対している欧州(NATO加盟国でもある)は、イラン戦争を支持するのでしょうか? もし、欧州が反対にまわれば、NATOは深刻な危機に陥ります。
いずれにしても、国際機関IAEAが、「イランは悪くない」と擁護している中、アメリカだけが、「いやイランは悪だ」と主張している。このことは、アメリカに深刻な長期的打撃を与えるでしょう。
image by: shutterstock