事業ドメイン
それは大塚家具です。
まず、「事業ドメイン」とは何でしょうか。以前にもお伝えしたかもしれませんが、事業ドメインとは「誰に、何を、どうやって」提供するかという大きな方針のことです。例えば、マクドナルドは
- ティーンエージャーから小さい子供を持つ夫婦(誰に)
- 早く、安く食べたいというニーズ(何を)
- 駅前一等地の店舗で店内作業マニュアル化(どうやって)
提供していることがわかります。それに対してモスバーガーのドメインは、
- 比較的年齢の高い層(誰に)
- ゆっくり、おいしく食べたいというニーズ(何を)
- 少し奥まった二等地の店舗で、注文後手作りで
提供することです。同じ業種ですが、お互いのドメインが違うので、共存できます。このドメインを変えてしまうと大変なことになってしまうのです。
大塚家具の、本来のドメインはこうでした。
- 高所得者層(誰に)
- 高級家具(何を)
- きめ細かい接客サービスで(どうやって)
販売するというものです。ところが、社長が交代したらこんなドメインになりました。
- ファミリー層(誰に)
- ファッショナブルで値ごろ感のある家具(何を)
- 気軽に見て回れるセミセルフ販売(どうやって)
ここまで大きく変わってしまうと、経営がブレます。というか、もう以前とは別の会社になってしまったのです。新社長は「大塚家具」の名前も変えるべきでした。名前を変えただけで成功するわけではありませんが、「経」も「営」も新しくするチャンスにはなります。
私は部外者として外から見ているだけなので、社内事情はわかりません。しかし、変えてはいけないものを変えてしまったことは分かります。事業ドメインを変えるならば、従業員との徹底した話し合いが必要です。その作業を省いてしまったのではないでしょうか。
あなたのお店にも参考になる事例です。事業ドメインがブレていないか、もう一度確認しましょう。
■今日のツボ■
- 「経営」の由来は、中国古典の「之を経し之を営す」にある
- 経営理念と事業ドメインは、変えてはいけない
- 事業ドメインを変えれば、経営はブレる
image by: Shutterstock.com