ピザハット約4億円の大赤字、宅配ピザ御三家で分かれた明暗

 

ドミノ・ピザはネットの活用で待ち時間すらエンタメに

ピザハットが低迷する一方、ドミノ・ピザは急成長を遂げています。日本でドミノ・ピザを展開するドミノ・ピザジャパンが10年に投資ファンドのベインキャピタルの傘下に入ってからは、店舗数を一気に増やしています。00年代に160~180店程度だった店舗数は10年から大きく増え始め、現在は全国に約530店を展開するにまで成長しています。この10年で3倍に増えました。 

ドミノ・ピザは躍進を遂げるにあたり、さまざまな改革を実行しています。特に力を入れてきたのがインターネットの活用です。

まず、電話でピザの注文を受けるのが一般的だった04年にネットでの注文受け付けを開始しました。04年におけるネット注文の割合は5%程度に過ぎませんでしたが、12年には約50%に達しています。ネットでピザを注文するスタイルを確立することに成功しました。

10年には業界に先駆けて注文アプリ「Domino’s App」を導入しました。スマートフォンで簡単に注文できるほか、GPS(全地球測位システム)を使って利用者が居る場所までピンポイントでピザを配達できるようにしています。これにより、公園での花見客などの開拓に成功しました。

インターネットを使った施策にエンターテイメントの要素を取り入れたこともドミノ・ピザならではです。09年に注文品の製造工程や配達状況を追跡するシステム「ピザトラッカー」を導入し、オーダーの進捗をリアルタイムで把握できるようにしたことに加え、11年に配達までの待ち時間に進捗状況を確認しながらクイズを楽しめる「Excellent Tracking Quiz Show」を取り入れるなど、待ち時間を楽しく過ごせる工夫を施しています。

13年には人気キャラクター「初音ミクとコラボレーションしたアプリを開発しました。初音ミクの楽曲にのせて配達状況を知らせる機能を盛り込むなど趣向を凝らしたところ、ネット上で話題となり、アプリは大ヒットしました。

そして転機となったのが、13年にドミノ・ピザ ジャパンが、オーストラリアやヨーロッパでドミノ・ピザを展開するドミノ・ピザ・エンタープライズDPEの傘下に入ったことです。同社は16年にドローンによるピザの宅配をニュージーランドで始めたほか、自動運転のロボットによるピザ宅配の試運転をオーストラリアで始めるなど、先端技術を使ったサービスに知見があることで知られています。

ドミノ・ピザジャパンはDPE傘下のもと、さまざまな改革を行なっています。たとえば、15年に対話アプリ「LINE」でピザを注文できるサービス「ドミノ簡単注文」を始めました。これは、業界で初の試みといいます。写真入りで表示される注文画面から簡単にピザを注文することができます。

ドミノ・ピザは30~40歳までの男性がコアターゲットで若年層は手薄でしたが、こういったネットの施策を強化したことで若年層を開拓することに成功したといいます。

print
いま読まれてます

  • ピザハット約4億円の大赤字、宅配ピザ御三家で分かれた明暗
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け