社員の不満を解消するために努力をしているという経営者の方から相談を持ちかけられた、無料メルマガ『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』の著者・梅本泰則さん。梅本さんは、「不満を完全に解消するのは難しい」としながらも、様々な切り口からの問いかけで「なんのために働くのか」の答えを引き出しています。
何のために働くのか
あなたのお店では、社員の方が不満を言ったことはありませんか。
私だけがどうしてこんなに毎日忙しいのかとか、こんなにお店のために働いているのに評価してくれないとか。中には、声に出して言わないけれどどうして私の給料は同僚の〇〇さんより低いのかとか、私の友人は、勤務先で私より楽しそうに働いているとか思っている社員の人がいるかもしれません。
そんな社員にあなたはどう対処していますか。
日頃、社員の人たちとコミュニケーションをとっているとしても全員同じように接しられるわけではありません。ですから、どうしても社員の中には不満を感じてしまう人も出てきます。つまるところ、それは経営者の責任でもあるのですがその不満を完全に解消するのは難しいことです。
そこで、賢いスポーツショップ経営者がいました。私に社員の前で話をしてくれというのです。テーマは「なんのために働くか」。もちろん、その経営者は普段からそうした話を社員の人たちにしています。しかし、私のような他人の口から言われればまた違った角度で伝わるのではないかということです。
私はその申し出を快く引き受けました。そして、次のようなことを話したのです。
社員への質問
まず私は、集まっていただいた社員の皆さんにこう切り出しました。
「皆さんは何のために働くのですか?」
テーマどおりの質問です。聞かれた社員の皆さんは、「何のこと?」といった顔をしています。そこで、しばらく考えていただきました。もちろん、「生活のために働く」と考えた社員の人もいるでしょう。中には、「自分の成長のために働く」なんて考えた人がいるかもしれません。また、「自分の夢をかなえるために働く」といった人も。
今回は、回答を聞くための場ではありません。ただただ考えていただきました。
その次に、こう問いかけました。
「では、なぜスポーツ店で働いているのですか?」
数ある業種の中から、スポーツショップで働くことを選んだ人たちです。何らかの理由があります。またしばらく考えていただきました。
- 接客が好きだから
- スポーツが好きだから
- スポーツ選手の役に立ちたい
まだまだ他に理由があるでしょう。続いてお尋ねしました。
「では、どうしてこのお店で働くのですか?」
これも、数あるスポーツショップの中からこの店で働くことにしたのですから何か理由があるはずです。おそらく、皆さん真剣に考えたことがないことですので頭が混乱しているに違いありません。またまたじっくりと考えていただきました。
- 通勤に便利だから
- 楽しそうだから
- 経営者が良いから
しっかり聞けば、もっと理由はあるでしょう。そして、4つ目に
「あなたはこのお店を通じて何を成し遂げたいですか?」
という質問をしました。これは、難しい質問です。よほど普段から考えていなければ、答えられません。