真実を明かそう。「国が年金を無駄遣いした説」は本当か?

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年金額が上がらない原因としてよく挙げられる、国が行った「グリーンピア事業」。ねんきんお財源を利用して保養基地を作るというものですが、本当にこのせいで今の年金額が上がらないのでしょうか? 今回の無料メルマガ『年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座』では著者のhirokiさんがグリーンピア事業について、そしてその廃止の理由などについて詳しく解説しています。

年金財源を昔いろんな施設に使ったから年金の財政が悪化して年金が上がらないのか

年金額ってなかなか上がらないですよね。この辺の理由や仕組みは有料メルマガ「学問としての公的年金講座」で随分長々と言ってきた事ではあります。

年金額は上がらないし、保険料や税金ばっかり上げて、こういう年金の事情は国が昔いろいろと年金の財源を使って無駄遣いしたのが悪いんでは? という声もよくあります。

確かに、昭和40年代から50年代にかけて、年金積立金という年金の財源を利用して大規模年金保養基地というのを作ったんですね。これをグリーンピアっていうんですけどね。このグリーンピア事業をやってたのが、年金福祉事業団といいます。

これで余計な施設とか乱立させたから財源が逼迫して、年金額が上がらないんだ! というのであればそれは誤解ですし全く年金財政に悪影響を及ぼしてません。あの平成19年に大問題になって支払ってなかった年金を1兆6,000億円くらい支払う事になった消えた年金記録問題でさえ年金財政を悪化させる事由にはなっていない。それは元々支払うはずだったのが支払われてなくて支払われたものだから、消えた年金記録問題で回復した年金額で年金財政に悪影響は及ぼさない。

結局、あの「消えた年金記録問題」とは一体なんだったのか?(hiroki参考記事)

年金財政を逼迫させてきた主な原因は結局のところは予想をはるかに超える少子高齢化と、平成に入ってからの長ーい経済の停滞が原因。よく年金の抜本改革が必要だとか言われますが、経済が成長しない中でどんなに年金制度の中身を変えても根本的な解決にはならない

平成21年に旧民主党が選挙で大勝して掲げていた現在の満額の老齢基礎年金(40年間キチンと保険料払った人は基礎年金満額約65,000円)を超える最低月7万円を保障する最低保障年金なんていうのはオイシイ話でしたが、現実離れしたオイシイ話はこの経済停滞と人口衰退の中ではあり得ないと思ったほうがいい。

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