真実を明かそう。「国が年金を無駄遣いした説」は本当か?

 

まあそこで、いろいろ施設を建設するために年金積立金から2,000億円くらい使ったけど、売却する時に40億円くらいしかならなくてものすごく損したから年金財源が足りなくなった! とか報道されたりしていましたが、厚生年金積立金120~130兆円(平成12年頃)からたったの2,000億円程度使ったくらいでは年金財政に影響を与えるものでは全くありません。120兆円から2,000億円使ったっていうのは、積立金の0.1%くらいなもんです^^;

それに、年金財源は現役世代の保険料をそのままその年の年金受給者に送るという賦課方式を取ってるから、積立金はそんなに重要ではありません。年金は今は保険料がそのまま年金受給者に向かう賦課方式(補助的に年金積立金や税金も投入してるから修正積立方式とも呼ばれる)を取っていますが、元々は完全な積立方式から始まりました。まあ、保険料を積み立てながらその間運用して、将来はその積み立てた保険料と利子収入を受け取るという事ですね。

自分で積み立てて運用したほうがいい! っていう人も沢山いますよね(笑)。だから今はキチンと国民年金保険料や厚生年金保険料を納めてる人には、確定拠出年金も上乗せ年金として利用する人も多くなってきました

ただ、昭和48年から年金を物価や賃金の伸びで年金に反映させるようになったから、予測のつかない経済変動は積立では対応ができなくなっていってだんだん賦課方式に向かっていったんです。ちょうど昭和48年というのはオイルショックが起きて、物価が狂乱的に上がった年でした。2年間で40%くらい。40%も2年で上がってしまうと、ちんたら保険料積立やっても追い付かないですよね。

昭和25年6月に北朝鮮が突然韓国に進撃して朝鮮戦争(昭和28年休戦)が勃発し、それがキッカケで日本は好景気(特需景気という)に向かって、昭和30年頃から日本は高度経済成長期に入って、物価や賃金も非常に上がっていきました。物価だったら毎年5%超えとか、賃金なら毎年10%超えとか。

あんまり、現役世代のお給料と年金世代の年金額に差が生じてしまうと、年金の生活保障としての機能を果たさなくなってしまうから、その過程で積立方式から賦課方式へと転換していく必要があった。とはいえ今は年金受給者も4,000万人くらいいるし、年金支給も本格的な時代だから積立金やその運用収入は年金給付にのみ補助的に充てられています。

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