入社させてからでは遅い。「職歴・病歴」2つの詐称の見抜き方

 

経歴詐称については、学歴詐称よりも職歴詐称への対応が重要です。何らかの問題従業員やモンスター従業員は、転職を頻繁に繰り返しています。1つの会社での雇用期間もあまり長くありません。ただ、それを正直に履歴書に書くと、会社側の心証が悪くなり採用してもらえません。

そこで、職歴詐称を行います。履歴書だけから職歴詐称を見抜くのは難しいかもしれませんが、少なくとも、採用時には前職の雇用証明書を提出させるべきです。また、応募時には、履歴書だけでなく職務経歴書も提出させることでウソを見抜けることもあります。

職歴に不自然な点があれば採用前にきちんと説明を求めるべきですし、不審な点があれば採用すべきではありません。ただ、そのような従業員を間違って採用してしまった時のために、就業規則の懲戒事由に必ず経歴詐称を入れておきましょう

また、病歴詐称も問題となることが多いです。とくに、腰痛等の慢性病やうつ病などのメンタルヘルスについては、きちんと確認しておくことが必要です。労災の休業補償や健康保険の傷病手当目的で病歴詐称で入社し、すぐに病欠してしまう者もいます。

採用時には病歴についてしっかり確認し誓約書等を書かせるとともに、病歴詐称があった場合には、採用取消しや懲戒処分を科せるよう、就業規則を整備しておくことが重要です。

とにかく、一旦雇入れた者を解雇することは、大きなトラブルに発展する可能性を秘めています。トラブルの未然防止のためには、採用時の見極めと就業規則等の整備が重要であることを忘れないでください。

以上を踏まえて、改めてお聞きします。

「御社では、採用時の選考、しっかり行っていますか?」

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【著者】 飯田 弘和 【発行周期】 週刊

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