ところで、台湾人にとって、自転車で台湾を一周(約900~1,200キロメートル)する「環島」は、人生で一度は挑戦したい夢となっている。この環島をブームにしたのも、劉だ。
聴覚障害を抱える青年が自転車で台湾一周の旅に出るなかで体験するさまざまな出会いをつづった映画「練習曲」に感銘を受けた劉は、2007年、73歳にして環島に挑戦、見事、15日間で達成した。これにより、台湾で環島が大ブームとなったのである。ちなみに14年、80歳のときにも劉は環島を12日間で達成している。
劉は「自行車新文化基金会」を設立するとともに、安全なツーリングのための標識や補給基地を完備した自転車道「環島1号線」の整備を政府に働きかけ、2015年には全線開通している。
このように、まさしく台湾のサイクルツーリズムを牽引してきたのが、劉金標なのだ。
そしてその活躍の場は台湾にとどまらない。2014年、愛媛県の招きで「瀬戸内しまなみ海道」のサイクリングイベントに参加した劉は、このコースをブログで絶賛、しまなみ海道は一気に認知度が上がり、「サイクリストの聖地」とまで呼ばれるようになった。
また、このイベントをきっかけに、愛媛県知事に台中市長を紹介し、愛媛県と台中市の友好交流締結を実現させた。その後、しまなみ海道は台湾の「日月潭サイクリングコース」と姉妹自動車道協定を締結、さらに台湾の環島の流行を受けて、四国を一周する「環四国」構想も進んでいる。四国一周も台湾一周とほぼ同じ距離だという。
劉は2016年に滋賀県の「琵琶湖一周(ビワイチ)」を体験、同県のサイクリング聖地化に助言を行っている。そのほか、東日本大震災の被災地での「復興支援サイクリング」に取り組むなど、積極的に活動している。
その功績が認められ、前述したように2017年に旭日中綬章を受章した。
その際、劉は創業当時に日本企業から技術的な指導を受けたことを挙げ、日本におけるみずからの活動について「日本の方々には大恩がある」という思いからだと語っている。
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