埼玉県内の国道沿いや、首都圏の郊外でよく見かける「赤いかかし」の看板。それが「埼玉のソウルフード」こと、多くの芸能人や文化人にも愛されている一大うどんチェーン店「山田うどん」です。この7月にブランド名や「かかし」のロゴを変更し、従来の男性向けチェーンからファミリー向けの食堂に舵を切った新生「山田うどん」は、一体どこに向かおうとしているのでしょうか? フリー・エディター&ライターでビジネス分野のジャーナリストとして活躍中の長浜淳之介さんが、現場に直接足を運んで取材を重ね、微笑む「赤いかかし」のロゴが指し示す将来への展望について詳しく分析しています。
プロフィール:長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)、『バカ売れ法則大全』(
ももクロも愛する埼玉のソウルフード「山田うどん」の赤いかかしが微笑む理由
埼玉県のソウルフードとして愛され、首都圏郊外に170店ほどの店舗が広がる、山田食品産業が展開する「山田うどん」。その「山田うどん」が、7月にブランド名を変更した。新屋号は「ファミリー食堂 山田うどん食堂」。
山田うどんはもう長らくうどん屋というよりも、ご飯物と麺のセットを出す食堂、定食屋のほうが辻褄の合う業態になっていました。麺だけでないことを表すために、実態のとおり山田うどん食堂と名付けました(山田裕朗社長)
「山田うどん食堂」の前に「ファミリー食堂」と付いていることからも、ファミリー層、女性にもっと来てもらいたいと、新規顧客開拓の狙いもある。
童謡「かかし」の歌詞、「山田の中の一本足のかかし」に由来するかかしのロゴも一部変更。口もとの「ヘ」の字型に曲がったデザインを、緩やかな「v」の字に変え、笑顔で顧客を迎える姿勢を示している。食堂の「食」のデザインにはお箸、「堂」のそれには丼型の器が描かれている(下記の比較図版参照)。
新しい屋号とロゴは、8年ぶりの新規出店となる埼玉県の3店(ふじみ野店、さいたま丸ケ崎店、武蔵藤沢店)、神奈川県の1店(平塚大神店)の計4店から採用されている。4店ともにオープン済みだが、最も早くオープンしたのは7月27日開店のふじみ野店(ふじみ野市)であった。
既存店は老朽化した店舗をリニューアルするタイミングで、順次切り替えていく方針だ。