よく使う慣用句、「意味も分かっているしちゃんと書ける」と思い込んでいませんか。意外な漢字を間違って覚えていることがあるかもしれません。今回の無料メルマガ『神垣あゆみメールマガジン ~仕事Beginのメール作法~』では著者の神垣さんが、パソコンの自動変換に慣れてしまったり、言葉の持つイメージに惑わされて思い違いをしていたり、といったことがありがちな慣用句をクイズ形式で解説しています。
その漢字でいいですか?
突然ですが、クイズです。下記の言葉の間違いはどこでしょう?
- 袖すり合うも多少の縁
- 激を飛ばす
- ぬれ手で泡
- 歯に絹着せぬ
- フリーの客
メールでも使うことのある慣用句ですが、案外、文字の間違いに気づかないまま使用していませんか?正しくは次のようになります。
- 袖すり合うも多生の縁
- 檄を飛ばす
- ぬれ手で粟
- 歯に衣着せぬ
- ふりの客
■本来の意味を要チェック!
1.袖すり合うも多生の縁
「多生」とは、仏教用語で「多くの生を経ること」。道で人と袖を触れあうようなちょっとしたことでも、多生、すなわち前世からの因縁によるものだ、というのが本来の意味。ちなみに「多生」は「他生」、「袖すり合うも」は「袖振り合うも」「袖触れ合う」とも書きます。
2.檄を飛ばす
「檄」は檄文の檄。「自分の主張や強く訴え、広く決起や同意を促す文書」を意味します。「激励」の「激」ではありません。
3.ぬれ手で粟
「濡れた手で粟をつかめば粟粒がたくさんついてくるように、骨を折らずに多くの利益を得ること。やすやすと金もうけをすること」が本来の意味。バブルの「泡」ではなく「粟」なんですね。ちなみに漢字の栗と間違えないように。
4.歯に衣着せぬ
「きぬ」はシルクの「絹」ではなく、衣服を指す「衣」。歯にころもをまとうことなく「思ったとおりをずけずけと言う」意味です。
5.ふりの客
本来、「ふり」とは「紹介や予約なしで来る、なじみでない客」を意味します。似たような音のフリー(自由な)と混同しやすいですが、別物です。
今さら……という感もなきにしもあらずな常識的な慣用句をピックアップしてみました。PCで入力すれば自動変換されるので、間違うことも少ないのかもしれませんが、言葉からくるイメージでつい思い違いをしているということも…。気になる言葉は辞書をめくって今一度確認してみましょう。
※ 参考資料 共同通信社「記者ハンドブック」、「デジタル大辞泉」
image by: Shutterstock.com