弘法さんとぼけ封じ。京都の隠れた紅葉名所に「一石二鳥」の旅へ

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紅葉の季節になると、京都の街にはいつも以上に多くの観光客が集まります。色づく木々と歴史ある名刹とのマッチングが人の心を引き付けるのでしょう。今回の無料メルマガ『おもしろい京都案内』では著者の英 学(はなぶさ がく)さんが、地元では「頭の観音さん」として親しまれてきた今熊野観音寺について、紅葉の素晴らしさなどさまざまな魅力を紹介しています。

紅葉の穴場・今熊野観音寺

京都の東山の地に皇室とゆかりの深い御寺(みてら)と呼ばれる泉涌寺があります。楊貴妃観音堂でも有名な古刹です。その泉涌寺の塔頭の一つが今熊野観音寺です。

平安時代に創建され「頭の観音さん」という名前でも親しまれてきました。今熊野観音寺は嵯峨天皇の勅願を受け弘法大使空海によって建てられました。頭痛封じやぼけ封じにご利益があるとされてきました。西国三十三所巡礼の十五番札所でもある今熊野観音寺は紅葉で混雑する時期に静かに京都のお寺をを味わうのには絶好の場所です。

今熊野観音寺の最寄りの駅は東福寺駅です。駅を降りて徒歩15分ほど歩いた場所になります。東福寺駅の東側、泉涌寺道の坂を上り、山門をくぐりさらに上ると左に曲がる道が見えてきます。今熊野川に架かる朱塗りの鳥居橋と紅葉はとても絵になる風景です。

今熊野観音寺の別名が「頭の観音さん」になった由来を説明しましょう。平安時代末期、源平争乱の時代に後白河法皇は心労からか激しい頭痛持ちだったそうです。そこで当時、観音信仰霊験あらたかであった今熊野観音に祈祷したことが伝えられています。すると法皇の枕元に観音さまが現れ頭痛が取り除かれたそうです。持病の頭痛が癒えた後白河法皇によって今熊野観音は頭痛封じの観音として広く世間に知らされ信仰されるようになりました。

このように今熊野観音寺は頭の観音さんとして信仰を集めるお寺になりました。開基した弘法大師を祀る大師堂の前にはぼけ封じ観音も立っています。今熊野観音寺では他にも智慧授かりや学業成就など、頭に関する願いを聞き入れてくれる観音様として親しまれています。

今熊野観音寺は近畿2府4県と岐阜県に点在する西国三十三所の第十五番札所でもあります。718年に、奈良の長谷寺の徳道上人(とくどうしょうにん)によって提唱された日本最古の巡礼がこの西国三十三所巡りです。今年、2018年は草創1300年を迎え、限定の御朱印帳が販売されていたり、御朱印に特別印を押してもらえたりととても貴重な年です。

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