前例がないから売れる。焼肉をファストフード化した社長の決断力

MBA20181108
 

前例無きものへのチャレンジはどの業界であっても決断力が必要であり、なかなか手が出せない部分でもあります。今回の無料メルマガ『MBAが教える企業分析』では著者でMBAホルダーの青山烈士さんが、そんな業界初の試みで成果を出し大きな話題となっている、焼肉ファストフード店の戦略・戦術を紹介しています。

他社がやらないことに価値がある

業界初の焼肉のファストフード店を提供している企業を分析します。

焼肉ライク(焼肉のファストフード店)

戦略ショートストーリー

焼肉の好きな方をターゲットに「焼肉チェーン経営ノウハウ」に支えられた「ひとりで気軽に行ける」「色々な部位を食べられる」「すぐに食べられる」等の強みで差別化しています。

焼肉業界初」という売り文句で注目を集め、誰でも気軽に入れる「焼肉ファストフードチェーン店」として支持を得ています。

■分析のポイント

他社がやらないことに価値がある

新橋に出店した1号店は非常に人気のようです。一人で焼肉を食べたいというニーズをお持ちの方が多いということを示していますね。

焼肉をファストフード化することは業界初とのことですが、焼肉店はたくさんある中でいままでなかったのが不思議なくらいです。恐らく検討した企業はあったかもしれませんが、前例がなかったこともあり、躊躇したのかもしれませんね。

ダイニングイノベーションの西山氏に顧客のニーズをキャッチする力があったことと、決断力があったということだと思いますが、前例がないことにチャレンジしたからこそ焼肉ファストフードという、顧客にとっては新しい価値を享受できているわけですから、素晴らしいことだと思います。

多くの企業は、何か新しいことにチャレンジしようとするとやらない理由を探しがちですが、今回の事例は、他社がやらないことに価値があるということを示していますね。

焼肉ファストフードを実現する上では、様々なハードルがあったと思いますが、特に提供スピードの部分は、かなり重要な要素となります。ここがクリアできないとファストフードとは言えないですからね。

提供スピードを短縮するうえでポイントとなるのがメニューの絞り込みです。焼肉屋定番の冷麺や石焼ビビンバなど調理に時間がかかるメニューを取り扱わずにに絞り込むという判断が大きかったと思います。

簡単なようで絞り込むという判断は難しいものです。他店が扱っているものは、自店でも取り扱いたいと思うことが多いですし、あって当たり前のメニューを置かないということは不安もあるでしょうからねそういった不安がある店ほど、メニューをどんどん増やしてしまう傾向があるような気もします。

そして、「肉」に絞り込んだからこそ「焼肉ライク」が肉好きな方に刺さったとも言えます。焼肉屋に行く目的は、人それぞれですが「焼肉ライク」の場合、顧客は「肉」を食べに来るわけですから「があれば十分ということです。

サイドメニューを確認してみましたが焼肉の定番「サンチュ(焼肉を包んで食べる青菜の一種)」が見当たりません。まさに「肉」を食べたい人のためのお店という感じですね。

今後、ひとりで気軽に行ける焼肉ファストフードが世の中にどのように拡がっていくのか注目していきたいです。

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