何かに自信がある子どもは、新しいことや苦手な分野に対しても、恐れずに挑戦していく勇気を持ちやすくなるそうです。とはいえ、「自信を持つ」ということは大人でも難しいものですから、子どもであればなおさらのことでしょう。今回の『子どもが育つ“父親術”』では、自信はもちろん、子どもの可能性を広げ自己有能感を育てる、適切な声がけタイミングや導き方などを紹介しています。
自己有能感を育てる
「自己有能感」というと、すこし難しい感じがしてしまうでしょうか。ここでは、子どもが自分自身に対して「自分にはこんな得意なことがある」「頑張れば、きっとうまくいく」と感じられる状態、くらいの意味で使っています。「自分はコレが得意!」と思えるものを持っていること自体は、絶対に必要というわけではないかも知れません。しかし、ある種の有能感については、ぜひ育ててあげたいと考えています。
私が特にお奨めしたいのは、子どもに「自分は、人を喜ばせることができる」「自分は、人を感動させる力がある」という種類の自己有能感を持たせてあげること。
- お絵描き、粘土細工、ブロック・積み木、朗読などのアート系
- 走る・跳ねる、でんぐり返り、鉄棒・うんてい、サッカー・野球、水泳などのスポーツ系
- 家のお手伝い、小さい子のお世話、パパの肩揉みなどの献身系
分野は何でも構いません。上に挙げたもの以外にも「この子、すごいな」「お、がんばってるな」と思えることは全て対象になります。子どもが自分の“得意”を発揮している時こそ、子どもの「自己有能感」を育てる絶好のチャンスです。
その際に気をつけるのは、声のかけ方。子どもに対して「褒め」たり、「賞賛」したりするのはお勧めできません。この声のかけ方だと、子どもの中には「自分は人を喜ばせることができる」という感覚以上に、「褒めてもらえてうれしい!」というインセンティブを発生させてしまう恐れが大きいのです。場合によっては、人を喜ばせたいとの純粋な気持ちから始まった行動が、褒めてもらうための手段に変わってしまうこともあり得るので、できれば避けたいところです。
適切な声のかけ方は、「独り言で、喜ぶ・感動する」です。子どもに向かって声をかけるのではなく、独り言で(でも子どもにちゃんと聞こえるように大きい声で(笑))「感動した」「嬉しい」を言うのです。
▲:おや、なっちゃん、お絵描きが上手だねぇ!
○:おお、なんて素敵な絵なんだ!この絵を見ていると、南の島に来たような気分になるぞぉ~。
▲:ケンは走るのが速いねぇ!園でいちばん速いよね!
○:わ。今すごく速く走っている子がいたぞ。あんなに速く走れたら、気分いいだろうなぁ!
▲:リサは小さい子のお世話がちゃんとできて偉いね。
○:うんうん。リサが小さい子のお世話をしてくれるから助かるなぁ。子どもたちもリサにお世話してもらって、すごーく嬉しそうだ!