官邸案件か?
【東京】は1面左肩に、2面の関連記事2本、26面と27面は見開きで「こちら特報部」、28面社会面も。見出しから。
1面
- ゴーン容疑者 指示か
- 虚偽記載 側近部下2人が実行
2面
- 日産、報酬制度変更へ
- ゴーン容疑者 ルノーと統合模索
- 権力集中 統治不全
- 日産に「報酬委」など独立組織なく
26面・27面
- ゴーン氏逮捕 なぜ今
- 社内クーデター説
- 日産・ルノー経営統合封じ?
- 仏側主導 「日本人幹部が懸念」
- 官邸案件?
- 仏と犬猿 米に「お歳暮」
- 特捜部の思惑は
- 司法取引、国民にアピールか
- 「経営陣・監査法人に責任ないか」
28面
- ゴーン容疑者の「懐刀」
- ケリー容疑者 海外住宅購入関与か
- 「日本にはほとんどいない」
uttiiの眼
《東京》は1面トップに、入管法改正の問題を持ってきている。外国人技能実習生の失踪者に関して、失踪者の8割が最低賃金以下で働いていたとの試算をもとに、野党が政府を追及した国会審議について取り上げた。日産関係は1面左肩から。
《朝日》のところで書いたように、1面記事は、有価証券報告書の虚偽記載は、ゴーン会長自身がケリー容疑者に指示して行われたという内容の記事。さらに、ケリー容疑者から指示を受けたのは、法務担当の外国人執行役員と日本人の幹部社員で、2人とも「ゴーン容疑者に近い間柄だった」というが、この2人が司法取引によって刑事処分を軽くしてもらう代わりに捜査に協力しているのだという。2人はケリー容疑者から「細工しろ」とか「分からないようにしろ」などと命じられ、虚偽記載に手を染めていたという。
26面と27面は、「暗闘」についての「こちら特報部」。だが、ここでのテーマは日産とルノーの「暗闘」だけではない。見開きの左半分は、司法取引を国民にアピールすることで森友・加計学園問題で失った信頼を取り戻したい検察の思惑と、特捜部によるゴーン逮捕には、フランスと犬猿のなかにあるトランプ米政権へのプレゼントという側面があるのではないかという推測が書かれている。今度のことが、フランス政府が筆頭株主であるルノーの弱体化につながるのであれば、そうした可能性も考えられる。さらに、ゴーン逮捕後、早速、日産の川口均専務執行役員が官邸に赴いて菅官房長官に事件の経過説明と謝罪をしたことも、「アメリカへのプレゼント」説と符合するかもしれない。
新聞がここまで示唆するのはかなり難しいことだが、《東京》の「こちら特報部」欄は読者の「週刊誌的興味」にも応えようとしている。様々な可能性を示唆することにおいて、全国紙各紙は臆病すぎるようにも思う。
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