しつこく言うようだが、原子力発電の最大の矛盾は、いつまでも放射能を出し続ける使用済み核燃料の処分方法が確立されていないことだ。
いずれ、科学技術の力で克服できると踏んで、とりあえずスタートさせたものの、最終的に地中深く埋めておく処分場が、候補地住民の反対でいっこうに見つからず、使用済み核燃料は各原子力発電所のプールに貯まり続けている。
その解決策だった「核燃料サイクル」は、高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉が決まったことで、頓挫した。使用済み核燃料の行き場がなくなれば、いずれ、原発の運転を止めざるを得ない。
経産省の考える小型原発が、高速炉なのかどうかも、はっきりしない。かりにそうだとしても失敗続きで兆単位の莫大なコストを垂れ流した「もんじゅ」の二の舞になるのがオチではないだろうか。
石油や原子力などを使った大規模発電所による集中的な電力システムは環境、コスト、安全保障、持続可能性からいっても、もはや古い仕組みになってしまった。「だから小型原発なのだ」と言うかもしれないが、核のゴミが出るのは同じであり、地球環境を守るという考えに逆行している。
原発に費やす資金があるのなら、再エネの新技術開発に投じるべきである。
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