確かに中国は購買力のある巨大市場として強大な影響力を持つに至りましたが、なんと中国はその市場を武器に転化してしまったのです。
「中国で商売したければ技術を放出しろ!」
「中国の意向に逆らったら中国で商売できないようにしてやる!」
これが中国経済に依存する中小経済国支配には極めて有効でした。オーストラリアの大学も、始めこそ学問の自由を盾に中国の干渉を退けようとしましたが、「それなら中国から留学生が行かないようにしてやる!」と中国国内でのマーケティングを封じられ、あえなく陥落しました。
「サイレント・インベージョン」です。
民主化どころの話じゃありません。まさに中華帝国の逆襲です。
さらに恐ろしいことに、最近では中国製は安かろう悪かろうではなく、月の裏側に探索船を着陸させる技術を持ち、超ハイテクの第四次産業革命を制して世界支配をもくろむレベルに到達しました。これではアメリカも本気で戦う覚悟を決めざるを得ません。
この大きな国際情勢の流れは、冷静に見ていれば素人でもわかります。
しかし、ここで嫌な記憶がよみがえります。
日本は戦前戦中と大きな判断ミスを繰り返して壊滅に至りましたが、中でも致命的なミスのひとつが、ナチスドイツと同盟を結んだことでしょう。
なんでまたヒットラーなんかと?
あの頃、日本人は破竹の大進撃をするナチスに憧れてしまったんですね。ナチスについて行けば、帝国主義時代の複雑な国際情勢を乗り切れるのではないかと。
ナチスはすでに英仏と戦争状態でしたから、ナチスと同盟を組めば自動的に英仏、そしてアメリカと戦争になってしまいます。にもかかわらず、日本はドイツと組むことが牽制になると考えた。
今と違って情報網も限られているので、日本は成績トップの将校をドイツやスイスに送って戦況を確認しようとします。
しかし、受験秀才は有事の際にはあまり役に立ちません。あくまでもペーパーテストの名手なんですね。でも中には本当に優秀な人がいて、ドイツがすでに対ソ連の東部戦線で敗色濃厚になっていることを掴んだ人もいました。
「今、ドイツ頼みでアメリカと戦争を始めてはいけない!」必死に本国に打電します。
しかし、本部はナチスにすっかり入れ込んでいた大島浩全権大使の報告を真に受けて、なんとこのタイミングで真珠湾攻撃を敢行してしまいます。