明治ひとり勝ちのヨーグルト市場に異変。いま何が起きているのか

 

「インフルエンザにかかりにくくなる」報道で店頭から消えた人気商品

一方の「プロビオヨーグルト」は「LG21」、「R1」、「PA-3」と3つの商品群に分かれており、それらの総称である。プロビオはプロバイオティクスを略した。それぞれ、プレーン、ドリンクタイプなどのバリエーションがある。

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最初に発売されたのは「LG21」で、LG21乳酸菌を使用した高機能商品。2000年に発売された当時は、アルファベットや数字を商品名に使ったヨーグルトの商品はなく、新鮮な印象をもたらしヒットした。

17年6月現在、明治では累計70億個、毎日100万個以上が販売されているとしている。

LG21乳酸菌は正式には、ラクトバチルス ガッセリーOLL2716株で、21世紀への飛躍に願いを込めて「LG21」と名付けたとのことだ。明治独自の研究の中から、胃での働きに着目して選び抜かれた菌である。

これまでヨーグルトは漠然と体に良いとされてきたが、LG21乳酸菌は胃で生き残る力が強い特徴を持つ。日本人は胃癌や胃潰瘍の要因となるピロリ菌の保菌率が高く、5,000万人と推計されている。胃酸に負けずにピロリ菌を攻撃するので、慢性的な胃もたれ、胃の痛みが緩和されたという報告もある。

「プロビオヨーグルト」は特定保健用食品ではないので効能をうたっていないし、医薬品ではないので100%に近い確率で効くとは限らないが、高機能の内容はかかるものだ。

日本のプロバイオティクスの草分けは、はるか前から販売されていたカルピス(1915年発売)とヤクルト(1930年発売)だが、プロバイオティクスを意識した高機能商品ということでは「LG21」が起点になっていると言っても過言ではない。

また、「R-1」はブルガリア菌の一種、OLL1073R-1乳酸菌を使ったヨーグルトで、09年に発売。15年に「プロビオヨーグルト」シリーズに編入された。

この乳酸菌がつくりだす多糖体の働きにより、病原体と戦うナチュラルキラー(NK)細胞が活性化して免疫力が向上。インフルエンザや風邪にかかりにくくなるという報道が、12年初頭に朝の情報番組で取り上げられ、店頭から商品がなくなるほどの売上を記録した。

実際に佐賀県有田町では、半年間小学生がR-1乳酸菌の摂取を続けたところ、インフルエンザ感染率が隣接市町村の10分の1にまで低減されたという調査結果もある。

さらに、「PA-3」はプリン体と戦う乳酸菌PA-3の高機能を訴求した商品で、痛風や高尿酸血症の予防や症状緩和が想定されている。ビールなどお酒を飲む人にとって、プリン体の過剰摂取は痛風の原因と言われ気になる話題である。「PA-3」は15年に発売されている。

「プロビオヨーグルト」シリーズの成長は、特に「R-1」のインフルエンザに効くという評判が大きな影響を及ぼして体調管理を目的に飲む人が増え、胃の調子が悪い人は「LG21」、お酒をよく飲む人は「PA-3」と、タイプ別に広がり急成長した。

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