明治ひとり勝ちのヨーグルト市場に異変。いま何が起きているのか

 

明治ブルガリアヨーグルトが値下げに踏み切った理由

明治のヨーグルトの売上は、2014年3月期には「ブルガリアヨーグルト」が731億円(前年同期比4.1%減)、「プロビオヨーグルト」が743億円(前年同期比30.3%増)と、両ブランドが初めて逆転。

その後「ブルガリアヨーグルト」は、15年716億円、16年761億円、17年803億円、18年779 億円と推移している。全般に伸びているが年によるバラつきがある。19年第2四半期は419億円(前年同期比2.3%増)と復調した。

一方の「プロビオヨーグルト」は、15年872億円、16年1,067億円、17年1,196億円、18年1,194億円と推移した。17年までは2桁成長が続けたが、18年には一転して微減。19年第2四半期は521億円(前年同期比4.7%減)と、不振が鮮明になっている。

ヨーグルトの売れ行きについて、明治・広報では「プロビオは近年ずっとテレビなどで話題になっていましたから、一服感があります。各社が競合する商品を出してきた影響も受けていますが、中長期的には心配していません。ブルガリアヨーグルトは新しいパッケージにした効果が出ています」と、説明している。

競合商品とはたとえば、18年3月に発売した、雪印メグミルクの内臓脂肪を減らすのを助ける特定保健用食品、「恵megumiガセリ菌SP株ヨーグルト」。18年10月にリニューアル発売した、森永乳業の母乳に多く含まれる抵抗力を強める素材「ラクトフェリン」を配合した「ラクトフェリンヨーグルト」、17年9月にアサヒ飲料が発売した「カルピス」由来の乳酸菌シリーズ「L-92」、「プレミアガセリ菌CP2305」などがある。「L-92」はアレルギー性鼻炎などの改善に役立つと言われる。

Image-75

また、年間商品化してきた甘酒には、ビフィズス菌を増やし、アレルギー発症予防、美肌、抗酸化などの機能があると言われる。甘酒は直近5年で5倍の250億円ほどの市場規模になっており、17年には売れ過ぎて生産制限をかけるメーカーも出たほどだ。

甘酒は森永製菓がトップメーカーで市場の3割を占めるとされ、マルコメ、メロディアンなどが続く。大関、八海山など日本酒メーカーも強化しており、競争が激化している。

そればかりでなく、近年はプレーンタイプの「ブルガリアヨーグルト」でも、「LB81」乳酸菌入りであることをパッケージに表示。「LB81」は健康な腸機能を維持する働きがあると言われる。高機能のプロバイオティクス商品は値段も高めで、お財布にやさしいプレーンでいいと考える消費者が増えているための、プレーン回帰と考えられる。

ユーチューバーが絶賛したという、セブン-イレブンのPB「生きて腸まで届く乳酸菌 飲むヨーグルト」は「L55」乳酸菌、善玉菌を増やすガラクトオリゴ糖が入っている。これに限らずコンビニやスーパーのPBは、一般的な安価なヨーグルトで機能をもアピールしている。

こうした流れを受け、明治は18年4月、「ブルガリアヨーグルト」のパッケージを450gから400gに変更。希望小売価格を260円から250円に値下げした。実質は値上げであるが、単身者、高齢者が増えている背景もあってか、容量減と値下げが歓迎されて好調である。

print
いま読まれてます

  • 明治ひとり勝ちのヨーグルト市場に異変。いま何が起きているのか
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け