2ドアのベンツでも会社の金で購入できる
企業の経理担当者や、税務関係者の間では、こういう都市伝説がありました。「2ドアの車は会社の経費(社用車)にはできない」と。このことは、かなり以前から、経理関係では言われていたことなのです。そして10年ほど前に『なぜ、社長のベンツは4ドアなのか(小堺桂悦郎著・フォレスト出版)』という本が大ベストセラーになったことをきっかけに、この都市伝説は広まったようです。
しかし、実はこれは誤解に過ぎません。なぜ、2ドアの車はダメと言われるようになったのかというと、その理由は「2ドアの車は後部座席にお客さんを乗せることができない。社用車というものは、お客さんを乗せるためにあるのだから、2ドアの車は社用車にはできない」というわけです。
でも、裁判の判例で、この都市伝説は明確に覆されているのです。ある社長が2ドアの車を社用車とし、税務署はそれを否認したために、裁判となったのです。この社長は、2ドアの車を、出勤や出張の際に使っており、「会社の業務で使っているのだから社用車として認められるべきだ」と訴えたわけです。そして、判決ではこの社長の言い分が通りました。この社長は、プライベート用に別の車を持っており、この2ドアの車は会社のために使っているということが、はっきりしたからです。
この判決のポイントは、この社長がプライベート用の車を別に持っていたことでしょう。税務署側の主張は次の二点でした。
- 2ドアの高級車を会社の業務で使っているわけはない
- ほとんどプライベートで使っているはずだから、会社の金で買うのはおかしい
しかし、この社長はプライベート用に別に車を持っていたし、きちんと会社の業務で使っているという事が客観的にわかったので、社長の言い分が認められたのです。つまりは、2ドアの車であっても、会社の業務で使用してさえいれば、立派に社用車として認められるわけです。
この裁判で、社長が勝った理由をここで整理しておきましょう。判決では、次の2点をポイントとして、社長の主張が認められました。
- 車を会社の業務(出勤など)で使っていたこと
- プライベート用には別の車を持っていたこと
これを見ると、2ドアの車でも実際に会社の業務に使っていれば、会社の経費で購入できるということがわかります。社用車というのは、顧客を乗せるためだけではなく、役員や社員が移動のために使うことも認められているのです。だから、スポーツタイプの車であっても、立派にその役目をはたしていれば、社用車として認められるということです。
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