経営管理や利益創出などの力をつけ、経済的に自立するためにその土台となるマネジメントを徹底的に学ぶメルマガ『梅木駿太のマネジメント塾』の著者の梅木さんが、悪い報告を意図的に集めることの意義と方法を解説されています。
悪い報告を意図的に集めるのはなぜか
有名なハインリッヒの法則によると、1件の重大事故の背景には同種の軽微な事故が29件あり、その背後には300件の異常があるそうです。
ただしハインリッヒさんの論文を読むと、その数字は少しズレるかもと言っていますが。そんな細かいことはさておき、つまり事故まで至らずとも、自分または自社にとって都合が悪い情報は溢れているということです。
そしてこの悪い情報(予期せぬ失敗)は、イノベーションに向けて大変重要な価値を持っています。
ドラッカーも「イノベーションと企業家精神」にて、予期せぬ成功だけでなく、予期せぬ失敗も吸い上げ、冷静に分析することの重要性を説いています。
しかし社員が自分にとって、不都合な情報を報告しないのは当然です。「報告しなさい!」「なんで言ってこないんだ!」と言っても社員は動きません。そこには心理的安全性がないからです。
だからこそ仕組み(ルール)に基づく風土づくりが必要です。
「責任は一切追及しない」
「失敗の責任は社長(上級職)にある」
という風土です。
悪い報告には500円を支給する企業もあります。
また叱る時には人間性を否定されるようなことは言わず、「こと」を叱るようにしている企業もあります。
人間性を否定されると消極的になりますが、
「問題なのは自分ではなく、自分がやった”こと”だ」
と割り切れれば報告もしやすくなりますね。あとお金にもなれば。そしてそれが分析されて未来に活かされれば。
その他にも、月に2回行う戦略会議のうち1回を都合の悪いもの、計画を下回ったものだけを扱うようにしている企業もあります。
このような仕組みがなければ、都合の良い、聞こえの良い情報しか集まってきません。結果的に、社長自身は全てを把握していると勘違いし、裸の王様になってしまいます。これでは正しい決定ができませんね。
「全てを知る覚悟を持って正しい決定をするのか、それとも裸の王様になるのか。」