安倍政権こそ悪夢。全てを信用できない国にした宰相の重大な責任

 

そもそも、たとえそんな話が事実であったとしても、憲法改正の理由にはならない

だが、安倍首相の真骨頂は、不自然さなどおかまいなしの理屈をひねり出すところにある。

2月10日の自民党大会で安倍首相は以下のように新たな改憲理由を持ち出した。

残念ながら、新規隊員募集に対して、都道府県の6割以上が協力を拒否しているという悲しい実態があります。地方自治体から要請されれば自衛隊の諸君はただちに駆けつけ、命をかけて災害に立ち向かうにもかかわらずであります。皆さん、この状況を変えようではありませんか。憲法にしっかりと自衛隊と明記して、違憲論争に終止符を打とうではありませんか。

この発言に関する論点はいくつもある。

都道府県の6割以上が自衛隊員募集への協力を拒否している、というのはどういうことか。かりにそれが事実だとしても、憲法に自衛隊を明記すればその問題は解決するのか。違憲論争に終止符と言うが、どれほどその論争が活発に行われているのか、などだ。

まず自治体の協力の問題について。防衛省の認識はこうだ。

全国1,741の市区町村のうち、2017年度に住基台帳の個人情報を、紙や電子データで提供したのは36.3%、住基台帳の閲覧を認めているのが53.5%で、ほぼ9割の自治体がなんらかの協力を行なっている

ところが、安倍首相にすれば、紙や電子データにして渡してくれるのがあたりまえで、閲覧程度では協力拒否の悲しい実態」であるらしいのだ。

命をかけて災害現場に駆けつけるありがたい自衛官が、わざわざ閲覧して名前や住所を書き写す労力を余儀なくされるのはかわいそうだ。自治体に自衛隊への感謝の気持ちがないからそうなるのであって、その原因は憲法に明記されていないからに違いない。だからこそ今、憲法改正が必要なのだという理屈であろう。

だが、そんな問題だろうか。「国のために命をかけよ」と説く安倍首相の心中では、個人情報など軽いものなのかもしれないが、自治体は個人情報を守る法律や条例を重んじる立場上たとえ自衛隊の要請といっても簡単には応じられないのだ。

住民基本台帳法には、国や自治体が法令で定める事務の遂行に必要な場合に限り、台帳に記載されている個人情報のうち「氏名・生年月日・性別・住所」の写しの「閲覧」を認めると書いてある。「閲覧」は認められるが、それ以上の協力は法的にできないのである。

つまるところ、安倍首相は法律に違反してもいいから自衛官募集のためにサービスをするよう自治体に強要しているようなものだ。

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