英語の用例で判明「クリエイティブ」に生きるのは割と難しくない

shutterstock_1120747865
 

やがて来るAI時代を生き抜くには、クリエイティブな発想が必要であるという言説を耳にすることがあります。ところで「クリエイティブ」の意味について確認したことはあるでしょうか?メルマガ『8人ばなし』の著者・山崎勝義さんは、日本語訳として当てられる「創造的な」や「創作力のある」は日本人にはピンとこないと指摘。英語での用法用例からしっくりくる日本語を導きだしています。

クリエイティブということ

社会の生産力の総和が安定している現代においては、個人として「自分はクリエイティブでありたい」と思うことは決して贅沢な願いではない。では、そのクリエイティブとは一体何なのだろうか。あるいは、どんな状態なのだろうか。

一応確認だが、辞書的には英語「creative」の和訳として「創造的な」「創作的な」とあり、それを若干散文的に言い換えた「創造力のある」「創作力のある」というのも併せて記載されている。「創造する力」に「創作する力」である。日本語になると、猶分からなくなる語の典型例である。

そのため日常会話において使われることは滅多にない。「君は創造力があるね」、「創作的なやり方だ」。このような例文も、日本語として決して不適格文ではないが、一般口語としては極めて不自然な言い回しであるということが分かる。

その代わりと言っては何だが、「創造」と音韻的に同じである「想像」の方はよく使われる。「君は想像力が豊かだね」。また、似たような意味合いで「独創的」というのもよく聞く。「独創的な方法だね」。興味深いのは「想像」も「独創」も、勿論状況次第ではあるが、何となく皮肉っぽく聞こえてしまうところである。

日本には、少なくとも日本語には、「クリエイティブ」は定着していないのである。

では「creative」の動詞形である「create」はどうであろう。例えば、海外ドラマなどを見ていると「created by 何某」といったタイトル画面がよく出て来る。これはそのドラマの第1話、所謂パイロット版を書いた脚本家に与えられるクレジットである。

日本にはこの「created by」に相当するものがない。似た表現として「原作」というのがあるが、これは少し意味が違う。「原作」というのは原則的に別形態の先行メディア(例えば、小説や漫画など)がある場合にのみ使われるものだからである。

そのため日本ではオリジナルドラマなど原作者を持たない作品の場合、第1話とその他の話数の別なく、とにかく当該話のシナリオを書いた人を一様に「脚本」としてクレジットしている。

勿論これは一人の脚本家によって全話が書き下ろされる場合が多いという日本特有の製作事情が反映されてのことだと思う。とは言え、長寿シリーズともなればさすがにそうもいかないから数人のスタッフライターで回すことになる。その場合でも、やはり第1話の脚本家が格別の存在としてクレジットされることはない。

ごく稀に「企画」というクレジットを見ることもあるがこれはこれでピンと来ない。敢えてこの「created by」に似た例を探すなら、演劇などで見られる「作 何某」「何某 作」の「作」が最も近い気がするのだがどうか。

print
いま読まれてます

  • 英語の用例で判明「クリエイティブ」に生きるのは割と難しくない
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け