統計不正と重なる、安倍首相の「不正確」な言葉が損なう国の信頼

 

しかし、提出していなくても名簿を作り閲覧・書き写しを自衛隊に認めたり、住民基本台帳の閲覧・書き写しを認めるなどの協力している自治体がほとんどである。

自治体は各事情に応じて協力していたのに、閲覧提示を協力拒否と切って捨てられる自治体も気の毒だが、この正確ではない安倍首相の発言が空気とともに事実よりも重くのしかかり、地方公共団体が協力しなければいけない雰囲気を作り上げ、報道では取材に対し「今後はさらに協力したい」との自治体も出てきた。

これは安倍首相の本望だろう。つまり、結果オーライである。協力拒否の定義が定かでないまま、協力を拒否している空気を作り出せれば、協力拒否の定義が定まらずとも自衛隊員を増やしたい人はそれでいいのだ。

最近の自然災害における自衛隊員の活躍を私たちは知っている。その崇高な任務も国民に浸透してきており、運用面での議論とは別に存在に対する議論は、真正面からやるべきなのだが、何か姑息な感じがするのは私だけではないはずだ。やっと正面から議論をできるようになった時代、この議論が民主主義を強くするはずなのに、その機会を不思議な空気で奪わないでほしいと思う。

これらの精緻されていない統計業務や宰相の言葉から生じる行動が信頼を得るものと離れていくのは想像に難しくない。加計学園問題も森友問題も、同根で定義があいまいな言葉が一人歩いた結果の忖度であり、森友学園では大阪財務局職員の自死に至った。

言葉を大事にする、作業の正確さを考える、そして自覚的な行動を積み重ねる─。国の在り方として、法治国家の官僚の基本であってほしいのだが、あまりに国民と遠く離れたところに来てしまった感がある。

その結果、何かが国の在り方として間違ってきている。国の方針として「ノーマライゼーション」「多様化」を叫んでも、言葉が宙に浮いているから信頼できない。しかし絶望はしない。現場から、言葉の定義を精緻化するために声を上げ続けるのだ。そう自分に言い聞かせている。

image by: 首相官邸

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特別支援教育が必要な方への学びの場である「法定外シャローム大学」や就労移行支援事業所を舞台にしながら、社会にケアの概念を広めるメディアの再定義を目指す思いで、世の中をやさしい視点で描きます。誰もが気持よくなれるやさしいジャーナリスムを模索します。

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