特養ドーナツ死亡事故の「有罪判決」で分かった現場の過酷な実情

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介護の現場に戸惑いと動揺が広がっています。長野県にある特養老人ホームの入所者が、配られたドーナツを喉に詰まらせたことが原因で死亡した事故で、長野地裁松本支部は介助役の女性に有罪判決を下しました。介護現場はどこまで責任を追うべきなのでしょうか。健康社会学者の河合薫さんはメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』でこの件を取り上げ、超高齢化社会に突入した日本に突きつけられている問題を浮き彫りにしています。

※本記事は有料メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』2019年3月27日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:河合薫(かわい・かおる)
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

ドーナツ事故は現場の責任? 事故と責任と老いと。

今回は「法とリアルの狭間」について考えてみようと思います。3月26日公開の日経ビジネスでは、三つ子の母親が生後11カ月の次男を床にたたきつけ、死亡させた事件で、実刑判決が言い渡された件について取り上げました。

三つ子虐待事件の母親を追い詰めた「男社会」の限界

この件については「ケア労働としての育児」の視点から問題を掘り下げましたが、「裏返しメガネ」では、「市場労働としての介護問題」について考えてみます。

3月25日、長野県安曇野市の特別養護老人ホームで入所者の女性(当時85歳)がドーナツを食べ、その後に死亡した事件で、食事の介助役だった准看護師の女性(58歳)求刑通り罰金20万円の有罪判決が言い渡されました。

事件があったのは2013年12月。85歳の入所者は配られたドーナツをのどに詰まらせ、ひと月後に亡くなりました。

介護の現場に過度の責任を負わせるのは酷だとして、無罪を求める約44万5,500人の署名が裁判所に提出されていました。

しかしながら判決では、「他にも食事の介助が必要な人がおり、被告に異変に気づける程度の注視を求めるのは困難」としながらも、「入所者の女性は食べ物を口に詰め込む傾向があり、窒息対策などとしておやつがゼリーに変更されていた」と指摘。

被告は施設の引き継ぎ資料などで確認すべきだったのに怠ったとして、過失を認定。量刑は求刑通りとなったと報じられています。

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