BtoBのメーカーがBtoCに初参入し「ほどけない靴ひも」を売った訳

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BtoBメーカーとして実績を誇る企業がBtoCに参入し成功をおさめるためには、どのような方法論が必要とされるのでしょうか。MBAホルダーの青山烈士さんは、「ニフコ」が販売し好評を得ている「靴紐」の戦略・戦術を詳細に分析しながら、そのセオリーについて自身の無料メルマガ『MBAが教える企業分析』で解説しています。

BtoBからBtoCへ参入する時のセオリー

注目を集めている「靴ひも」を分析します。

● アウトドアウェアのフードや袖口を締めるコードロックを製造するBtoBメーカーである「ニフコ」が提供している画期的な靴ひも「SPLC

戦略ショートストーリー

トレイルランナーの方をターゲットに「機能的な靴ひもロックシステム」に支えられた「激しい動きにもゆるまないほどけない」「脱ぎ履きが楽」等の強みで差別化しています。

イベントへの協賛や様々なメディアで紹介されることで認知度を高め、独自の機能性により、顧客ターゲットであるトレイルランナーから支持されています。

■分析のポイント

BtoBのメーカーとして実績は申し分ない「ニフコ」ですが「SPLC」は初のBtoC製品です。

今回は、「SPLC」の事例をとおしてBtoBメーカーがBtoC向けに商品をリリースする際のセオリーについてみてみましょう。

まず、第一のセオリーは自社が培ってきたノウハウなどのコア・コンピタンスを活かせるかということです。自社が得意でないことを、BtoCでやってもうまくいかないことは想像に難くないですからね。

「ニフコ」の場合、アウトドアウェアのフードや袖口を締めるコードロックの製造で培ったノウハウを「SPLC」に活かしています。ノウハウがベースにあって、機能的な靴ひもロックシステムが開発されたのだと思います。

そして、このノウハウ、システムが強みである「激しい動きにもゆるまない、ほどけない」靴ひもという製品につながっているわけです。この強みは結ばない靴ひものパイオニアであり、既に市場で評価を得ている「キャタピランに対して差別化につながる新しい価値になっています。

キャタピランは以前、本メルマガでも取り上げていますのでぜひ比較してみてください。

結ばない靴ひも「キャタピラン」は、なぜこんなに売れているのか

また、第二のセオリーは、市場にニーズがあるか確認することです。BtoCで実績が無いわけですから、商品に自信があっても、出してみないと売れるかどうかはわからないという状況だと思います。ある程度、販売見込みが立てられないと製造計画も立てるのは難しくなります。

「ニフコ」の場合、クラウドファンディングサイトMakuakeを活用して支援金を募りました。結果として、支援金の目標額10万円に対して645人の方から100万円を超える支援金が集めることに成功しています。

「ニフコ」は売上高2,000億円を超える企業ですから、10万円を集める事よりも、市場の反応を確認するためにクラウドファンディングを利用したと考えられます。大きな反響を得られたことは、初のBtoC製品開発のプロジェクトを後押ししたでしょう。

最後に、第三のセオリーは、顧客ターゲットを具体化することです。BtoBでは、クライアントが決めた仕様に沿って製品を作っていくことが多いですが、BtoCでは、消費者が顧客になりますので、誰がどのようなシーンで使い、使うことでどのようなメリットが得られるのかといったことを具体化できていないと価値を伝えることが難しくなります。

「ニフコ」の場合、製品の汎用性が高い靴ひも「SPLC」ですが、まずは、トレイルランナーにターゲットを絞りトレイルランナーが求めている強い耐久性を訴求することで価値を伝えています。

上記のように、「ニフコ」はセオリーを押さえながら、初のBtoC向けの商品リリースしていることがわかります。

今後、「SPLC」が靴ひも市場で、どのような存在になっていくのか注目していきたいです。

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