では、私たちの社会はホントに「かわいそうな子供を量産させない社会」になっているのでしょうか?
コラムにも書いたとおり、育休など、今すぐにでも会社は男性社員に義務付けることはできるはずです。取得させなかった企業に罰則を科す。同時に育児休暇中無給にならない制度をつくる。
当然ながら、国や会社を動かすには、それなりの大きな力が必要です。ならば、もし、自分の部下に小さい子供を持つ男性がいたら、「早く帰っていいぞ」と声をかけることだってできるはずです。電車の中で小さな子供を連れているお母さんを見かけたら、ちょっと手を貸すことは誰にもできます。
そういう小さな一人一人の行動が、ケア労働の価値を共有していくことになっていくのではないでしょうか。
例えば、電車に乗り込む時、降りる時、ベビーカーを押している母親にさっと手を貸したり、階段を上ろうとしているお母さんを手伝ったりするのが当たり前な社会。そんな小さな変化の積み重ねが、ケア労働への理解にもつながっていくと思うのです。
今回の事件は「個人の問題」ではなく、「社会の問題」です。判決に関しては、それぞれ意見があるかもしれません。でも、そこに焦点を当ててる限り、痛ましい事件を防ぐことはできない。でも、そう考えることができないほど、たくさんのお母さんたちがギリギリに追い込まれているというリアルが存在します。
そのことを一人でも多くの人に知ってもらいたくて、今回とりあげました。
みなさまもご意見、お聞かせください。
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※本記事は有料メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』2019年4月3日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。
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※『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』(2019年4月3日号)より一部抜粋