なぜそんな上下関係が確立されたのか。矢部氏は「砂川裁判」の最高裁判決(1959年)が決め手になったと言う。
当時の最高裁長官、田中耕太郎氏は、安保条約のような高度な政治的問題について最高裁は憲法判断をしなくてよいという判決を出し、それ以来、そういう考えは保守派から「統治行為論」と呼ばれて、あたかも法学上の「公理」のごとく扱われている。
この最高裁判決がアメリカ政府の指示と誘導によってなされたという驚愕の事実が2008年、米公文書で明らかになった。
日米安保にかかわる問題なら、たとえ憲法に反する場合でも、最高裁は違憲判決を下さない。そういうことであれば、日本の官僚は米国の言いなりになることこそ保身の道と考えるだろう。
沖縄県が政府にいくら談判しても埒があかない背景には、米軍による実質的な占領状態の継続と、複雑に絡み合った利権の構造がある。
安倍首相はトランプ大統領の機嫌を損なうことを恐れ、玉城デニー知事への冷たい態度を崩さないだろう。自分の権力維持のためなら憲法や地方自治を無力化することさえ厭わない安倍首相に、玉城知事が対抗していくのは並大抵ではない。
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