カネが何千億かかろうとも辺野古移設を進める「利権村」の正体

 

元防衛事務次官、守屋武昌の著書『「普天間』交渉秘録』によると、2005年6月の時点では辺野古の海を埋め立てるのではなく、キャンプ・シュワブ陸上案が有力だった。

これを覆し、同年8月に埋め立て案を示したのは沖縄県北部の建設業者でつくる親睦団体「沖縄県防衛協会北部支部」(名護市)の意向を受けた米国防副次官、ローレス氏だった。

工事の大規模化を望む建設業者と、既存米軍敷地内ではなく、その外側に新基地が広がるのを歓迎する米側の利害が一致したのであろう。

沖縄防衛局は、ゼネコンや地元業者と、米国防省関係者、政治家をつなぐ“基地利権村の事務局のような役割を果たしてきた。沖縄防衛局の職員が自民党政治家の選挙運動を手伝ってきたフシもある。

アメリカに正当な主張さえできない官僚が、巨大な組織と情報収集力を駆使して、米国の望むようにこの国を支配している。それが米国との間で摩擦を起こさず、自己保身につながるいちばんの方法だと彼らは心得ている。

その心理構造を作り上げているのが、日米地位協定と日米合同委員会だ。

日米安保条約のもとで米軍の権利を定めた地位協定。それを後生大事に守り、沖縄に対しては「上から目線で粛々」と、辺野古への移設を進めようとする日本政府。この主権国家として不本意きわまりない対米関係をなぜ対等なものに変えようとしないのか。どうしてその負担を沖縄ばかりに押しつけるのか。

多くの沖縄県民が抱いているであろうこの疑問に対し、日本政府はただの一度も、まともに説明責任を果たしたことがない

日本のエリート官僚たちと在日米軍との協議機関「日米合同委員会」こそ、安保条約を憲法よりも重視して政策を判断する日本官僚機構の謎を解く鍵である。

日本側代表は外務省北米局長で、その下に各省庁の官房長、局長、審議官、課長クラスがずらり。米側は、代表の在日米軍司令部副司令官以下、米大使館の公使や、陸、海、空軍、海兵隊の各司令部の幹部たちで構成される。

つまり、各省庁のエリートたちが、在日米軍の幹部のもとにはせ参じ、何らかの課題について、合意形成をはかっているのである。

月二回といわれる会議に、毎度、全省庁が集まるわけではないが、米軍側は、それだけ頻繁にこの国の政策立案に関わっている

辺野古の新基地建設については、閣僚級のテーブルに上げられる前に、この実務者会議で合意がはかられてきたと考えられる。

矢部宏治氏は著書『日本はなぜ「基地」と「原発」を止められないのか』で、アメリカ政府が日本政府より上位、アメリカとの条約群が憲法を含む日本の国内法より上位、という関係が法的に確定してしまっており、官僚が上位の法体系を優先して動くのは当然だ―と主張している。

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