「あなた(聞き手)に関係ある話」に転換する方法
具体的にはこういうことです。学生の友人同士の会話で考えてみましょう。
「Aちゃん、昨日のテレビ番組〇〇、見た?」
と、あなたが問いかけたとします。
「見てない。それはそうと、隣のクラスの誰々なんだけど…」
と言われてしまったら、その話題は終了です。
もっとも、若者の友達同士であれば、こういう身勝手な会話は普通にあり得ますよね。私も、電車の隣の席だった女子高生同士の会話が、あまりに「自分のこと言い合戦」で、同じ話題が全然続かないのに驚いたことがあります(笑)。それでも友人関係が成り立っているわけですから、不思議ですね。
それはそうと、同じ質問に対して、話を拾ってくれる配慮のあるBちゃんだったら、どうでしょうか。おそらく、「見なかったけど、どういう番組だったの?」と返してくれたでしょうね。
これは、お互いに同じ話題で会話が盛り上がることに前向きであるため、話の共通点を探ろうとしてくれた結果です。私たちの会話は、普通はそういう配慮をすることによって維持されています。話し手としての立場で考えれば、それでずいぶん助けられているわけですね。
では、ここで問題です。上述の、話を拾ってくれないタイプのAちゃんと、昨日のテレビの話を持続させたいならば、どういう話の振り方をすればよかったのでしょうか?はい、それが、あなたに関係ある話のしかたですよ。
答を言いますね。「Aちゃん、いつも△△に興味があるって言ってたよね?昨日のテレビ番組〇〇、見た?」こうなります。
テレビ番組〇〇自体は、Aちゃんに関係がない存在ですが、△△という話題には興味を持っているんですよね。ならば、「あなたに関係があるワード」△△を中心にした話の振り方をすればいいわけですね。
なんだ、そんなこと、簡単だし、いつもやってる、と思うかもしれませんが、これが友人同士の一対一の会話だから、いつもやってるレベルなんですよね。
ところがこれが、授業、講義、訓示、プレゼン、説明、スピーチ…など、あなたを発信者として複数の人々に向かって話すときになると、不思議と、できなくなるんです。
原因は主にふたつ。まず、話す対象が複数になるため、聞き手の関心を考えにくくなること。もうひとつは、話し手の「発信者としての自意識」によって、自分が考えたことを話そうとし過ぎてしまうことです。