葵祭の凄いところはあの源氏物語に祭りの様子が描写されていることです。源氏物語の「葵」の場面で葵祭の斎王列を見物しようとする光源氏の妻・葵上が描かれています。葵上と六条御息所(みやすどころ)=(光源氏の若い頃の恋人)の(牛)車争い。葵の上の牛車と六条御息所の牛車の列が祭りの場所取りのために大ゲンカになってしまう場面はあまりにも有名です。
そして、その事件から10年後に光源氏と紫上(むらさきのうえ)が桟敷席から葵祭を見物する場面もあります。そのようなことを思い描きながら隊列が通り過ぎるのを見物すると1000年以上前の時代がよみがえることでしょう。まさに現代に蘇る平安絵巻です。
この路頭の儀の行列は本列と斎王代列から成ります。本列は馬にまたがった古来の日本の役人扮する隊列や牛車から成る17の隊列です。その後ろには、女官や巫女に扮した隊列や斎王代を載せた腰輿(およよ)など6つの隊列から成る斎王代列が続きます。新緑の緑に映える都大路を色鮮やかな装束に身を包んだ隊列が厳かにゆっくりと進みます。その姿はタイムマシーンに乗って平安時代に遡って生で見ているような感覚です。
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