「消費増税延期と衆院解散・衆参ダブル選挙の可能性」を匂わす発言で政財界に大きな動揺をもたらした、自民党の萩生田幹事長代行。与党幹部は火消しに追われましたが、安倍首相の側近中の側近である萩生田氏の言葉だけに、様々な憶測が流れているようです。今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では元全国紙社会部記者の新 恭さんが、同発言の裏には消費増税先送りを選挙対策に利用したい安倍首相の意があるとし、その根拠を記しています。
またも選挙対策で消費増税先送りか
沖縄と大阪、二つの衆議院補欠選挙はいずれも自民党候補の敗北に終わった。
安倍首相は衆院大阪12区補選の応援のため大阪入りし、なぜか吉本新喜劇の舞台に登場してまで大阪人の気をひこうとしたが、若い自民党候補を勝たせるほどの力にはならなかった。
いずれも苦戦が予想されていたとはいえ、今夏の参院選を前に、出鼻をくじかれたかっこうだ。
こういう状況だと、ますます気になるのは、自民党幹事長代行、萩生田光一氏がインターネットテレビで発言した内容だ。
「6月の日銀短観の数字を見て、危ないぞとなったら、崖に向かって皆を連れていくわけにはいかない…消費増税をやめるとなれば、国民の了解を得ないといけない。信を問うことにもなる」
安倍首相が消費増税の延期を表明して衆議院を解散し、参議院とのダブル選挙にする可能性もあり得るというのだ。
先週「自民党の議席減を鈍らせる、国民民主党内の『小沢一郎アレルギー』」で、「増税延期」どころか「減税」の可能性まで永田町で囁かれていると書いたが、萩生田氏の発言からも、消費増税を嫌がる安倍首相の本音が透けて見える。
さすがに萩生田氏は「個人的見解だ」とかわすが、つい口が滑ったというより、“確信犯”だろう。
萩生田氏といえば、面がまえも体格もでかい。今井秘書官が安倍首相の参謀総長とするなら、腕力をウリにした親衛隊長のようである。東京都議を経て2003年に衆院選に出馬し当選したのも、拉致問題を通じて知り合った安倍氏の勧めだったとか。
2009年に落選すると、安倍氏の“腹心の友”加計孝太郎氏が理事長をつとめる加計学園の千葉科学大学で客員教授にしてもらい、急場をしのいだ。
2012年に国会へ戻った後は、安倍首相に総裁特別補佐として取り立てられ、15年10月には内閣官房副長官に任命された。側近中の側近ともいわれるが、要するに安倍首相には頭が上がらない。