2016年6月1日、安倍首相は再び消費増税の延期を表明した。17年4月に予定されていた10%引き上げの時期をさらに2年半延期し、19年10月にするとした。
「新しい判断であります」とごまかして「確実に消費税を10%へ引き上げる」という約束を反故にしたわけだ。会見で述べた延期の理由はこうだった。
「新興国や途上国の経済が落ち込み、世界経済が大きなリスクに直面している。こうした認識を、伊勢志摩サミットに集まった世界のリーダーたちと共有しました。…新たに危機に陥ることを回避するため、適時に全ての政策対応を行うことで合意し、首脳宣言に明記されました。直面しているリスクは、リーマンショックのような金融不安とは全く異なります。しかし、私たちは、あの経験から学ばなければなりません」
リーマンショック級ではないが、そうならないよう、経験から学んで消費増税をやめます、というわけだ。恐るべき政権である。「新しい判断」と言えば、いかようにでも公約を破ることができる悪しき例を政治史に残してしまった。
安倍首相は消費増税延期表明をして同年7月の参院選を戦い、自民党は圧勝、議席を6つ増やした。
先日の萩生田発言は、二度あったことが三度もありうることを明確に示したものだ。
選挙に勝つためなら、どんな手段も厭わない。そんな安倍政権の体質からすると、たとえば米中貿易戦争や英国のEU離脱問題などをリーマンショック級の経済危機とこじつけて、消費増税を先送りし、有権者の歓心を買うというえげつない選挙作戦をまたまた仕掛けてくるとしても、不思議はない。
安倍首相の約束を信じるのが間違い、と言われれば、それまでだが。
image by: 安倍晋三 - Home | Facebook