この話に似たような民話が、山口県にあります。
「厚狭(あさ)の寝太郎」。
厚狭という里の長者の息子・太郎は、毎日何もせず、寝てばかり。村人からは、「寝太郎」と呼ばれ、バカにされていました。
その太郎が、3年3ヶ月寝た後、突然起き上がり、「おとっつぁん、すまんが千石船をいっそう、こしらえてつかぁさい」と言いました。
父親である長者は、何か考えがあるのかもしれないと、千石船を作ります。太郎は、水夫を雇い、船一杯にわらじを積み、海へ出て行ったのです。
太郎は佐渡島に渡り、そこで働く人夫の古いわらじと、持って行った新しいわらじを無料で交換し、古いわらじを大量に持ち帰ったのです。驚くことに、そのわらじを水に漬けると、たくさんの砂金が出てきたのです。
太郎は、佐渡島の金鉱で働く人夫が履くわらじには、砂金がたくさんついていることに気がついていたのです。3年3ヶ月もの間、このことを考えていたのです。太郎は、手に入れたお金で、村に土手や用水路を作ったり、沼地を水田に換え、村人に分け与えたのです。
この2つの話は、思いつきのアイデアではなく、よく考え抜かれた、まさに“知恵”の逸話なのです。
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