落日のファーウェイ。中国「純国産化」で増す、情報漏洩の危険性

 

そのような状況下で、中国産のアプリを使うことの危険性は言うまでもありません。さまざまな情報が中国側へダダ漏れする可能性が否定できません。

ご存知の方も多いと思いますが、1999年、中国人民解放軍の空軍大佐である喬良と王湘穂は「超限戦」という新たな戦略を提唱し、世界に衝撃を与えました。これは、戦争を従来の戦場に限るのではなく、外交やテロ金融法律メディアサイバー空間など、さまざまな方法や場所、分野で戦争を仕掛けるというものです。

中国がサイバー部隊を整備し、世界各国でハッキングやサイバー攻撃を繰り返していることは、すでに常識でしょう。中国政府が他国の個人の銀行口座やパスワードなどを大量に盗み、その口座を無効にするような細工をするだけで、相手国の金融を麻痺させたり、パニックを起こすことも可能なのです。

また、スマートフォンのカメラを通じて利用者の日常を盗み撮り、弱みを握るといったことも考えられます。

人民解放軍が「超限戦」を提唱し、実際にサイバー部隊から宇宙軍までの創設が行われているわけですから、中国企業を使って他国の情報を盗み出そうとしていないはずがありません。中国においては官と民が一体、というより民は奴隷であり官に従うものなのです。

歴史的にも皇帝制度がそうですし、それを支えた儒教では「知らしむべからず、依らしむべし」(『論語』泰伯)を政治の要諦として説いています。中国の知識人や権力者は、2,000年以上も前から、民に道理を説いても理解できないと考えてきたわけです。

中国共産党一党独裁の現在もそうです。だから中国共産党は絶対無謬であり、憲法にも「中国共産党の指導に従う」ことが最優先だと書かれているわけです。このような国で、民間企業が中国共産党に反抗できるはずがありません

日本人は、まだまだ、そういう観点で中国や中国企業を見る人が少なく、非常に甘い。長年、中国のやり方を見て、接してきた台湾人からすると、とても危険なことだと思います。

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